明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ第1戦。怒濤の展開の中でヒーローになった男は興奮気味にまくし立てていた。 「アオさん(青山敏弘)だったり、シオ(塩谷司)だったり、同じサイドの選手には『全部俺につけてくれ。持ったら全部俺を見てくれ』と伝えましたし、一回一回プレーが終わるたびに『もう一回つけてくれ。次もつけてくれ』と要求した」 そんな言葉を聞きながら、「変わったけど、変わってないんだな」というちょっと妙な感慨も覚えた。ギラギラしていて、真っ直ぐで、ピッチに立てば千変万化。サンフレッチェ広島が全国に誇るウイングバック、柏好文とはそういう男である。 ケガに泣く時期を経て迎えたチャンピオンシップでも、彼の姿勢は変わらなかった。69分、満を持してピッチに送り出されると、右サイドでチャレンジャブルなプレーを繰り返し続けていく。ボールを持ったら、仕掛ける。ボールを持ったら、仕掛ける。「相手にとったら