ゆるがせは, 忽(せ) と当てる。まあ,ふつうは, ゆるがせにしない, といったふうに使う。辞書(『広辞苑』)には, イルカセの転。室町時代まで清音, とあり,日葡辞典には,「ユルカセ」として, 「一字一句ユルカセにしない」 という用例が出ているらしい。意味としては, 心をゆるめるさま, おろそかにするたま, いいかげんなこと, なおざり, 粗略, とある。この意味の幅は,なんだろう。『古語辞典』には,同様の注記の後, 物事をいい加減にすること, なおざり, おろそか, のほかかに,「また」と加えて, のんびり構えてあくせくしないこと, とある。この意味の幅も大きすぎる。「ゆるかせ」の語源としては, いるかせ(おろそかにする)の変化, 「緩い枷」で,閉め方がいい加減, の二説があるようだが,前者が通説のようだ。『古語辞典』には,事実,「いるかせ」という項に, なおざり, おろそか, の意が