「夏の虫」といえば、カブトムシとクワガタムシ。雑木林で捕まえるのは難しくなったが、今は近所のホームセンターで簡単に買える。卵から成虫に育てて出荷する「昆虫ブリーダー」のおかげだ。カブト、クワガタに囲まれて暮らす……“少年の夢”のような職業だが、“悪夢”のような厳しい現実もあった。 【写真】吉田羊の腕にカブトムシが止まり「私、樹液出てる?」 東京都八王子市の京王相模原線南大沢駅から車を走らせること15分。市を東西に走る通称“野猿街道”を越えると、民家がまばらになる。その一角にある畑の中に立つ、平屋造りのプレハブが川田裕一(55)のカブト、クワガタ養殖場「RTN(リターン・トゥー・ネイチャー)」だ。 建物内の棚にはトレーが何層にも積まれ、そこに10センチほどの瓶がずらりと並ぶ。中ではカブト、クワガタの成虫、幼虫がザワザワとうごめいている。土がたっぷり入ったトランクほどの大きさの箱もあり、川