前回のコラムでは、近年、税制体系全般にわたる改革が進められていることを述べた。 税制は様々な税目が合わさった「体系」として見ることが重要であり、それぞれの税目には特徴と役割がある。 今回は、所得税について少し掘り下げて見てみたい。 日本の所得税は、他の主要先進国と比べて、高いのだろうか、低いのだろうか。こうした国際比較をする際、前々回のコラムで論じた法人税の場合もそうだが、税率のみを見るのでは十分ではない。 所得税の場合、対象となる所得が高くなるほど、税率が高くなる累進構造がとられているが、いくらの所得からどのくらいの税率になるか、という区分(ブラケット)のあり方が重要だ。 また、様々な所得控除により、課税の対象となる「所得」は、実際に稼いでいる「収入」よりは相当程度小さくなる。こうした控除の効果も含めた、実際に納税者が直面する税負担を見ることが必要だ。 「所得」と「収入」の関係について、