4月に上梓した単行本「馬体は語る—最高に走るサラブレッドの見つけ方」を読んだと、新規開業の厩舎で働く厩務員から連絡をいただいた。その方は、「ROUNDERS」のファンでもあり、手紙でのやり取りを経て、今回の単行本の発売を機に初めてお話をすることができた。その会話の中で、「vol.1で書かれていた走るフォームはとても参考になりました。実は、新しい厩舎では走るフォームに力を入れているのですよ」と言われ、嬉しく思うと共に胸が熱くなった。7年前に調教について書いたことが、競馬ファンだけではなくホースマンたちにも届き、時代を経ても現場に生かしてもらえていたのだ。 なぜ私が調教について語るとき、走るフォームについて語ったのかというと、現在の調教の潮流自体が走るフォームにあると感じていたからである。強い馬づくりを掲げ、ここ数十年で目覚ましい進化を遂げてきた日本競馬の調教技術の最先端は、走るフォームにある