著者ガードナーの多重知能理論はマスコミにも広く知られてる通り、普通知能とは考えられないものを大胆に知能と呼んで見せることで耳目を驚かせている。本を読んでみると、ガードナーは、脳による意識的な問題解決能力を知能と呼んでいるようだ。それ自体は必ずしも特異な主張ではない。たとえばマックグリューによって拡張されたCHC理論では精神運動速度Gps 、精神運動能力Gp、運動感覚能力Gkなども知能に含められているが、これなどはまさにガードナーのいうところの身体的知能にあたるだろう。ただCHC理論においては最終的に一般知能gにまとめ上げているところが違っているだけである。 ただ評価できるのはそこまでで、じっさいになぜ人類の知能が彼の言う8つに代表され、それが互いに独立のものといえるのかは、まったくもって根拠薄弱である。かれの学生は、この調子なら料理知能やユーモアの知能、セックスの知能もありうるのではないか