南会津は遠い。会津田島の駅に降り立ち、自転車を組んでもう10時だ。むしろ東北新幹線を郡山で降り、磐越西線で向かう会津若松のほうが時間距離でいうと近い。そもそも野岩鉄道が開通し、鉄道路線が首都圏と直結したのが1986年、いっぽう道路のほうは、尾頭トンネルによって栃木県内の上三依と塩原を結ぶ国道400号がつながったのが1988年、甲子トンネルで下郷と白河がつながったのは2008年のこと。いずれにしたって会津の長い歴史からすればじつに最近のことで、首都圏直結交通はか細く(林道なみの会津西街道の国道121号のみだった)、むしろ会津若松に出て、そこから郡山や新潟をへて首都圏とつながることが主流だったと聞くこの地に、そうそう容易に行けるなどと思わないほうが良いのだ。 結局、出発は10時を少し回った。こまごまとした準備を含めて15分じゃ済まなかった。時計をちらっと見て駅を発った。 南会津は高い建物がない