2017 - 04 - 30 「ちょっと存在する人は、やっぱり雇えませんねぇ」 日記ではない 「ちょっと存在する人は、やっぱり雇えませんねぇ」 「そうですか……」 またこれだ。 「やはり存在するひとはコストもかかりますしねぇ」 「なるほど……」 存在者差別禁止法が施行されてから五年が経つというのに、いまだ企業はそれを守ろうとはしていない。それで存在してしまった僕はまだ職にありつけていない。依然として存在しないもののほうが有利だ。面接室から出るとオフィスは存在しない事務員たちで溢れかえっている。そりゃ存在しないものは保険もいらなければ、スペースもそんなに取らない。遅刻もしない。でもだからなんだって言うんだ。僕だって生きてるんだぞ。 「おい、存在しないやつたちめ!!」 僕はついに声を張り上げてしまう。 「オレだって生きてるんだぞ!! いまに見てろよ!! お前たちを、オレが血祭りに上げてやるから