東京・渋谷のミニシアターブームを牽引(けんいん)した「シネマライズ」が来年1月、約30年の歴史に幕を下ろす。渋谷の映画文化が衰退する一方、映画熱が高まっているのが新宿だ。都心のシネコン(複合型映画館)ブームが、「映画の街」の交代を促した。 渋谷のシネマライズ閉館へ 「アメリ」「トレインスポッティング」「ムトゥ 踊るマハラジャ」……。渋谷・スペイン坂のシネマライズは1986年に開業。とがった作品を多く世に出し、渋谷のミニシアター文化の中心的存在だった。 高校生千円をいち早く始める一方、性的マイノリティーに配慮してレディースデーや夫婦割引は導入しないなど、こだわりのある映画館としても知られた。だが近年は興行収入が苦戦。2007年の「善き人のためのソナタ」を最後に、興収5千万円を超える作品が出なくなった。 代表の頼(らい)光裕さん(63)は「90年代半ばから00年代半ばまで、渋谷は特殊な高揚感で