『ハーバード・ビジネススクールが教える 顧客サービス戦略』の著者、フランシス・フライとアン・モリスの連載をお届けする。企業は従業員に「最高のサービス」を追求させるのではなく、「最高のサービスモデル」を構築せよ――これが本書のメッセージだ。第1回は、不況下で勝ち抜くために「コスト削減」と「サービス向上」を両立させるヒントを紹介する。 よいサービスは、どんな時代にも差別性を生む。人々が不況にあえいでいる時はなおさらだ。サービス業界で大恐慌を乗り越えて繁栄したのは、メイシーズやディズニーのように、不安と不確実性が渦巻くなかで顧客にどう対応すべきかに気づいた企業だった。立ち込めた不景気の霧は薄れつつあるが、依然としてほとんどの家庭や企業は不安を拭えずにいる。歴史の教訓は、誠実な顧客対応――いつも変わらぬ堅実なサービス品質の提供――が、景気回復後の多大なる顧客ロイヤルティと市場シェアにつながる可能性