製造業は低迷し、負のスパイラルに陥っている日本。資源のない我が国を発展させるのは、豊かな“人資源”しかない。ところが、それを供給するべき教育が時代の要請に十分応えられていない、と瀧本哲史氏は言う。今、京都大学で人気ナンバーワンの若手教官、瀧本哲史客員准教授が、若者に「これからを生き抜く術」を説く。 * * * 日本の教育において今重要なテーマは、高等教育をいかに行なうかと、初等教育をどう底上げするかの2つに絞られると私は考える。 高等教育、とりわけエリート向け教育の重要性が増している理由は、米アップルの事例を見るとわかりやすい。 iPhoneの世界的なヒットの裏には「全体を設計する少数の人(上級管理職)」と「その他の作業をする人(未熟練労働者)」しかいない。同社のデザイナーはわずか20人ほどだという。圧倒的な雇用は中国や台湾で生まれていて、米国にはない。 アップルはもはや米国内で「製造に必