1972年9月、秋田大学前に看板を掲げ一人の学生が始めた「無明舎出版」が世に出した本はおよそ1200冊。孤軍奮闘の50年を経た現在の境地を伺います。 写真:藤田一浩 花言葉なき薬 この10年は特にキツかったな。東日本大震災のあった2011年以来。東北各地からの出版依頼も減り、孤立無援で、いくら努力しても秋田では誰かが褒めてくれるわけでもない、一体何をやっているんだ、という自問自答ばかりで。そんな時、梓出版文化賞を1票差で落選したというファクスが送られてきました。東京の出版社の知人から「残念でしたね」というメッセージとともに。この落選で、ずっと見てくれている人がいるんだと、一挙に力を吹き返したんです。見放されているわけじゃないんだと。次の年の2018年には特別賞をいただきました。その頃には「まあ当然だよな」と傲慢さが戻って(笑)。 今年創業50年になって、山の友が句を贈ってくれました。山では