国が猛プッシュしているのが、「住み慣れた家で最期まで」という在宅医療。 たしかに、患者の家と医療機関との距離を物理的に遠ざけておけば、ちょっとしたことで医療費が使われなくて済むのかもしれない。となると、弱った老人が家にいるとお世話になるのが介護だが、そのあたりもなかなか複雑だ。 ●急性期病院の日常風景 ◇帰ってきてほしくない家族、帰りたくない患者 入院して治療が済んで、もう帰るだけになった患者。帰る前にいろいろとリクエストがある。自宅に帰ればほったらかされることを知ってか知らずか、帰る間際に医療従事者に甘えているようにすら映る。 「せっかく入院したついでだから、昔っから頭が痛いんでCTとって」とか、 「そういえば、ぎっくり腰で痛いからMRI撮って帰るから」と勝手に決める。 ガンコな老人だと言い出したら止まらない。丁寧にこちらが話を聞いていても、 「俺の言うことがきけないなら、もしなにかあっ