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ブックマーク / blog.tatsuru.com (51)

  • 『武道的思考』韓国語版序文 - 内田樹の研究室

    みなさん、こんにちは。内田樹です。 これは『武道的思考』という僕の書き物の韓国語版です。原著は2010年に出たので、これは15年前のということになります。 さいわい、武道についての原理的な知見を記したものですから、時事性や速報性とは無縁です。それくらいの時間のせいで「時代遅れ」になるということはありません。 僕の考える「武道的思考」というのは東洋に固有の考え方です。ですから、日だけでなく、韓国でも中国でも、たぶんベトナムやタイにも、このような人間の捉え方は(多少の地域的な違いを伴いつつ)、それぞれの文化の深層に確実に伏流していると思います。ですから、韓国の方でもお読みになれば、「なんとなく、わかる」ということがあると思います。 ただ、韓国ではたぶんそれを「武道的思考」というようなかたちで提示する人はこれまでいなかったのだと思います(韓国の武道界のことは僕はよく知らないのですが、僕のこの

  • 今年の予測 - 内田樹の研究室

    この原稿が年明け最初になる。年頭なので2025年はどんな年になるのか予測してみたい。毎年予測しているが、だいたい外れる。「そんなことが起きるとは思ってもいなかったことが起きる」からである。でも、みんな私と同じように驚いているので、「お前の予測は外れたな」というような個別的な嫌味を言われたりしない。恥をかくのは「必ずこういうことが起きる」と予測したことが起きなかった場合だけである。 とはいえ、せっかく紙数を頂いているのだから、恥を覚悟で、「そんなことが起きると思っている人があまりいないこと」を列挙してみたい。 その1.アメリカでいくつかの州が連邦から離脱する。テキサスとカリフォルニアでは独立運動がもう始まっていることは前にも書いた。合衆国憲法には州の連邦からの離脱についての規定はないが、論理的には州議会と州民投票で過半数を得れば連邦からの離脱は可能なはずである(同じ条件で連邦への加盟が可能な

  • アメリカがもたらすカオス - 内田樹の研究室

    年初は「今年世界はどうなるか」を予測することにしている。「これから世界はカオス化する」というのが私の予測である。異議のある人はおそらくいないだろう。カオス化を主導するのはもちろん米国である。 ドナルド・トランプは国より憲法よりも彼個人に忠誠を誓う人々を要職に登用して、米国の新しい「国王」になる気配である。 グリーンランドとパナマを領有し、メキシコ湾を「アメリカ湾」と改名し、カナダを併合し、同盟国にGDP5%の国防費負担を要求するなど、ほとんど日替わりで「米国の新しい要求」がニュースになる。超覇権国家がここまで節度を失う日が来るとは誰も想像していなかっただろう。 米国にはさいわいまだ自由なメディアが残っている。だが、米国の媒体の行間に「恐怖感」がここまで露出したことは私が知る限り過去にはなかった。これから先米国はどうなるのか、米国人自身が「どうなるかわからない」のである。 「困惑する」という

  • 農業をもう一度基幹産業に - 内田樹の研究室

    農業についてよく講演や寄稿を依頼される。私自身は都会生活者で、農業とはほぼ無縁の生活を送っている人間である。だから、私に農業のことを訊きに来るのは「現場のことはよく知らないけれど、日の農業のさきゆきに強い不安を抱いている人間」の意見も(参考のために)聴いておきたいということなのだと思う。だから、以下に私が書くことは、ふつうの農業関係者がまず言わないことを、まず用いない言葉づかいで語ることになる。そういう視点からも農業の重要性と危機を語ることもできるのだということを分かって頂きたい。 私は1950年、戦後5年目の東京の多摩川のそばで生まれた。下丸子の駅から多摩川の河川敷まではかつて軍需工場とその下請けが立ち並んでいたところで、B29の爆撃でほとんど廃墟となった。そのあとに人々が住み着いたのである。 私の家の前には「原っぱ」があった。春には菜の花が咲き、秋にはススキが揺れる、遠目にはきれいな

  • 「私の原点」 - 内田樹の研究室

    夏に『學鐙』という媒体に「私の原点」というテーマでの寄稿を求められた。多田先生の弟子になったのが私の原点である。そのことを書いた。年末に『學鐙』の編集者からメールをもらった。何を書いたか忘れていたので、筐底から取り出した。 私が人生の転換点に立ったのは1975年の12月末のある日ことである(正確な日付は残念ながら覚えていない)。その少し前に私は合気道自由が丘道場に入門していたのだけれど、その日に多田宏先生の弟子になった。この人を生涯の師としようと決めたのである。それが私の原点である。 その年の三月に私は大学を卒業した。在学中就活というものをしていなかったし、受験勉強をしないで臨んだ大学院入試にも落ちたので、卒業と同時にルンペンになった。 さいわい、70年代なかば日社会は高度成長期のただなかであり、私のような人間のところにもぱらぱらと仕事の依頼があった。翻訳会社のバイトを週二日、家庭教師を

  • 隠居宣言 - 内田樹の研究室

    この原稿が掲載されるころにはすい臓がんの切除手術を受けた後でベッドの上にいるはずである。さいわい早期発見だったので、それほどおおごとにはならずに済み、年末退院で、来春からは全面的に社会復帰できるはずである(希望的観測)。 いつも年賀状の宛名書きをしている時期に入院しているので、今年に限り年賀状は欠礼させてもらうことにした。道場の大掃除はじめあれこれのイベントも「病み上がり」を口実にさぼることにする。もう先頭に立ってばたばたする年でもないということである。 病を得たことを奇貨として、格的に「隠居」することにした。もちろん、これまでも還暦や古希を迎えるたびに「これからは隠居だ」と宣言していたのだけれど、誰も気にしてくれない。次から次に用事を言いつけられ、「その日は空いていますか?」と訊かれると嘘も言えない。気がつけばスケジュールが仕事で一杯になっていた。 今回診断が確定してすぐに年内のスケ

  • 農を語る 中編 - 内田樹の研究室

    「対米自立」という気概の喪失 内田 「対米従属を通じての対米自立」というトリッキーな国家戦略が60年代までの自民党政治にはあったと思います。アメリカからの国家主権の回復、北方領土と南方領土(沖縄)の奪還がわが国の最優先目標であることについては、六〇年代ぐらいまでは左右問わずに国民的な合意がありました。けれども、ある時点から誰も「対米自立」を口にしなくなった。 藤井 それを言うと「アホか」という雰囲気になってきましたよね。特に現政府与党関係者達の中で対米自立を主張すると「藤井さんは青いな。中国北朝鮮に対抗するためにはアメリカとうまくやらなきゃいけないじゃないか」と言われてしまいますから。中国北朝鮮に対抗するためにはアメリカの「奴隷」であることが必要であり、「奴隷」と言うのが嫌だから「同盟」と言うんですよね。だから「日米安保」を「日米同盟」と言い始めるわけです。少女売春を「援助交際」や「パ

  • 農を語る 後編 - 内田樹の研究室

    地方を見捨てるようになった日人 内田 かつての自民党の支持基盤は農村部でしたけれども、農村部は衰退しているから政治的な発言力がどんどんなくなっています。そうすると、地方にいい顔をしなくてもいいということになりますよね。能登半島地震にしても、元の姿に復興する気がありませんし。 藤井 農業の議論とも全く同じだと思いますが、二〇一一年の東日大震災のときにも棄民的な発言が結構ありました。「東北なんて田舎だから放っておけばええやん」と経産省の役人が言っていて、それが大問題になって懲戒処分になりましたよね。当時は復興しないといけないという気持ちがあったわけですが、それから十三年経った今は平然と「あそこは田舎だから復興しなくていい。カネも無尽蔵にあるわけではないのだから復興するところとしないところを分けよう」という議論がなされています。そこで、僕はそんなことを政治家が言っているのはおかしいという記事

  • 農を語る(前編) - 内田樹の研究室

    料の自給自足は国の根幹である 藤井聡 今回は、神戸女学院大学名誉教授で武道家でもあられる内田樹先生にお越しいただきました。内田先生は文学や思想、社会科学などいろいろな側面から時勢的な問題について論じられていますが、以前この「農を語る」にもご登壇いただいた堤未果さんとと農の問題について対談されていましたよね 。それを拝見したこともありまして、今回お越しいただいた次第です。どうぞよろしくお願いいたします。 早速ですが、内田先生は現在の「農」についてどのようにお考えでしょうか。 内田 僕への講演依頼で一番多いのは教育関係ですが、次に多いのが医療と農業です。JAさんをはじめいろいろな団体から声がかかっていて、あちこちで講演しています。演題として多いのは人口減少についてですね。今農村は急激な人口減少で、もはや過疎地を通り越して無住地化しつつあります。農村の現場の細かいことは研究者じゃないのでよく

  • 性善説と民主政の成熟 - 内田樹の研究室

    日替わりで政治事件が続くので、コラムを書くのが大変である。でも、これはある意味では「よいこと」だと思う。それだけ政治的状況が流動化しているということだからである。 公人としての資質問題で失職した県知事が、なぜかSNSで圧倒的な追い風を得て再選されたかと思うと、そのSNS戦略を受注した広報会社の社長が内幕を公開したせいで公選法違反を咎められるという展開になった。 「選挙にまつわる膿」がこうして噴き出したおかげで「なるほど選挙制度というのはこういうふうに腐ってゆくのかが可視化された。これも「よいこと」に数えてよいかも知れない。 ある候補者は公選法が想定していないトリッキーな行動を次々ととることで都知事選も県知事選もカオス化してくれたけれど、改めて公選法が性善説に基づいて設計されているという厳粛な事実を前景化してくれた点では功績があったと思う。 私たちの社会制度の多くは性善説に基づいて設計され

  • 兵庫県知事選とメディアの役割 - 内田樹の研究室

    兵庫県知事選挙は過去に見たことのない展開になった。 斎藤前知事は、公人としての資質に関わる内部告発があった時に「犯人捜し」を強行して、内部告発者を懲戒処分にしたことが公益通報者保護法違反である疑いを持たれた。百条委員会でも前知事は「処分は適切だった」と譲らず、道義的責任も法的責任も拒否した。その結果、県議会の全会一致の不信任を受けて失職した。その前知事が出直し選挙で圧勝した。 県議会と対立して失職に追い込まれたが、「県議会と知事と、どちらの言い分が正しいか」という選択を有権者に求めて再選を果たした県知事は過去にも存在した。だが、今回は事情が違う。問われたのは議会と知事の政策上の対立ではなく、斎藤氏個人の資質問題だったからである。だが、公人として適性を欠いているという理由で不信任を突きつけられた前知事はこれを「大胆な県政改革をめざした知事が、守旧派県議会と既存メディアに敵視された」という政治

  • 非人情だけど親切な人 - 内田樹の研究室

    抱樸の「きぼうのまち」プロジェクトのためのクラウドファンディングがもうすぐ終わる。目標額の40%を超えたけれど、まだ足りない。応援のメッセージを頼まれたので、書いた。 困っている人を助けることができる人って、どういうタイプなんだろう。 もちろん、「情に篤い人」だ。「優しい人」、「共感力の高い人」、「想像力の豊かな人」。たぶんそういうふうに指折り数えることができると思う。 でも、僕はこのどれにも当てはまらない。 薄情で、気配りがなく、共感力に乏しくて、想像力が欠如している。いや、別に謙遜しているわけじゃなくて、ほんとうにそうなのだ。面と向かって言われるし。 でも、僕はいろいろな支援活動に積極的にコミットしている。そもそも私財を投じて、道場と学塾を建てて、地域社会の拠点にしようとしてきた人間なんだから、うっかりして僕のことを「社会活動家」だと思っている人だっているかも知れない。 でも、もう一度

  • 内田樹選集 - 内田樹の研究室

    今日はこれから病院ですい臓がんの切除手術の日程打ち合わせである。手術が無事に終わったとしても、もう74歳であるから、相当にダメージは残るだろう。もうぼちぼち「店じまい」の頃合いである。 何度もそう言って「隠居する隠居する」と宣言してきたが、思い通りにならない。むしろ70歳を過ぎてから仕事が増えてしまった。理由はいろいろある。一番大きいのは「もう後がない」ので、言いたい放題言うようになったせいであろうと思う。いまさら無理して「賢そうなこと」を言って、世間の評価を何ポイントか上げても仕方がない。できることなら「ウチダ以外誰も言いそうもない変痴奇論」を語って、世間のみなさまに「なるほど、そんな変な考え方もあるのか」と思っていただく方が、何ごとかを言う甲斐がある。 でも、もうさすがに身体がついてゆかないので、店じまいの準備を始めることにした。 もうこのあと長いものを書くことはないと思うので、手始め

  • 民主政の成熟とは - 内田樹の研究室

    選挙前に「政治への異議を白票で表現しよう」というキャンペーンが目についた。あえて白票を投じることで、「今の選挙制度では、私たちは自分が満腔の賛意を託すことのできる代表を選ぶことができない。私はいま立候補しているどの候補者に投票したい気分になれない。各党は私が投票したくなるような候補者を探してこい。話はそれからだ」という怒りの意思表示ができるというのである。 でも、現実には白票はただの「無効票」である。「現状に対して強い不満を持っている」という意思表示にはならない。「現状肯定」しか意味しない。 「白票を投じよう」と訴えている人たちは政権与党の「隠れ支持者」であるか、民主政における選挙というものの意味を理解していない人たちか、あるいはその両方である。 白票論者たちの勘違いは選挙を「自分の全幅の信頼を託せる人」に一票を投じることであるというふうにひどく浅く定義していることである。たしかに選挙公報

  • 『無知の楽しさ』についての質問票 - 内田樹の研究室

    韓国の出版社企画で「無知の楽しさ」というが出た。韓国の編集者や訳者の朴東燮先生からの質問に私が答えて一冊のになったのである。それについてのメールでのロングインタビューがあったので収録。 内田先生、こんにちは 私は韓国で、作家、そして弁護士として働いているチョン・ウジンと申します。 このような形で、内田先生とお会いできる機会が得られて、ほんとうに嬉しく思います。 先日韓国で出版された『図書館には人がいないほうがいい』を読み、内田先生のまさに「大ファン」になり、先生のごを何冊か家に積読していて(もちろん韓国語版ですが)、一冊ずつ読んでおります。 私はそれらのの内容からいろいろ影響を受けているのですが、その中でももっとも印象に残っているのは「というのは、およそ死ぬまでに読み切れなくても買って積んでおくものである」というところでした。そのおかげで最近の購入量が当に増えてしましました。

  • 理想の民主政 - 内田樹の研究室

    総選挙が終わり、長きにわたって続いた「自民一強」時代が終わった。この選挙結果はこれからの日にどんな変化をもたらすのだろうか。とりあえず私たちが慣れ切っていた重要法案の「強行採決」というものがなくなる。国の方向を決めるような政策が十分な国会審議抜きに「閣議決定」だけで決まるということもなくなる。これは空洞化していた日の民主政にとっては喜ばしい事態である。 久しく人々は「一強」体制を好ましいものだと思っていた。他党との交渉や妥協なしに、与党がやりたいようにやるのはよいことだと思っていた。というのは、世の中というのはおおむね「そういうもの」だったからだ。 株式会社というのは間違いなくそうだ。経営者が発令する指示に部下が「それ、おかしいですよ」と抗命するということはない(したら業務命令違反である)。トップの指示が末端まで遅滞なく示達されて、かたちになる。それを見慣れた人たちは「国というのも、そ

  • 今中高生に伝えたいこと。進路について - 内田樹の研究室

    「今、中高生に何を伝えたいこと。進路について」というお題を頂きました。 でも、進路について僕から皆さんに特に伝えたいことはないんです。「好きにすればいい」という一言でおしまいです。無責任に聴こえるかも知れませんが、「好きにする」のって結構大変なんですよ。 だって、みなさんが「これから好きに生きたい」と言って進路の希望を述べたら、たぶんおおかたの親御さんは「ダメ」と言うはずだからです。「世の中、そんなに甘くないぞ」とか「好きなことをしてっていけると思っているのか」とか「嫌なことを我慢するから給料がもらえるんだぞ」とか、いろいろ。 もちろん、そんな親のダメ出しに対してはびくともせずに「いいえ、好きにさせてもらいます」と好きにするのが正しい子どもの生き方です。これは僕が保証します。 でも、好きに生きたら必ず成功するというわけではありません(そんなはずがない)。好きに生きてもしばしば失敗します。

  • 虚無の政治力学 - 内田樹の研究室

    総裁選中は現行の「健康保険証」と「マイナ保険証」について問われて、「併用も選択肢として当然ある」と答えていた石破茂氏だったが、政権が発足すると同時に、健康保険証を12月2日に廃止して、マイナンバーカードに原則一化する政府方針を「堅持する」とアジェンダを覆した。 多くの人がこの言を咎めている。 でも、よく考えると、間尺に合わない話である。自民党総裁選は「内輪のパーティ」の話であって、総裁になるためには別に「国民に受けるアジェンダ」を掲げる必要はなかったのである。ではなぜ一瞬だけ期待させておいて、また失望させるような「余計なこと」をしたのか。 健康保険証の廃止に対しては医療現場も利用者も反対している。早期導入を求めているのは霞が関と財界だけで、これを争点化すれば総選挙で票を減らすことはあっても増やすことはない。ご祝儀で支持率が高いうちに総選挙という知恵が働くなら、「健康保険証廃止は延期」に

  • 最悪の事態について想像力を行使することの意味について - 内田樹の研究室

    ディストピアを語る理由は、ディストピアのありさまをこと細かに語るとディストピアの到来を阻止できる可能性があるからです。これは人類のある種の知恵なんだと思います。 「ディストピアもの」が書かれ出したのは20世紀に入ってからです。オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』とかジョージ・オーウェルの『1984』とかがたぶん最初です。でも、ディストピアSFが大量生産されたのは1950年代、60年代のアメリカです。その頃に大量生産されたのは、米ソの間で核戦争が起きて、世界が滅びるという話です。わずかなヒューマンエラーによって核戦争が始まり、文明が消滅する。そういう話です。映画であれ、テレビドラマであれ、漫画であれ、小説であれ、膨大な数のディストピアムが書かれました。 僕はSF少年だったのでその頃にリアルタイムで大量のSFを読みました。『博士の異常の愛情』とか『未知への飛行』とか『猿の惑星』とか世界が

  • 新しい門閥制度 - 内田樹の研究室

    自民党総裁選についての報道は専ら候補者たちの政策や党内基盤についてのみ論評している。でも、見落としていることがある。それは9人の候補者のうち6人の最終学歴アメリカの大学または大学院だということである。残る3人のうちの一人も、日の大学を出た後にアメリカの下院議員のスタッフになったことをその後のキャリア形成においてずいぶん強調していた。 ということは、自民党に限って言えば、最終学歴アメリカであることがどうやらキャリア形成の必須条件だということである。私の知る限りでも、日富裕層の中では中等教育から子どもを海外あるいはインターナショナル・スクールに送り込むことが「ふつう」になってきている。その方が英語圏の大学に進む上でアドバンテージが大きいからだと説明された。 「グローバル化の時代なんだから、レベルの高い教育を受けるために海外に出るのは個人の自由だ。横からがたがた言うな」と言う人もいるだ