タグ

ブックマーク / niewmedia.com (10)

  • 映画『きみの色』は『聲の形』のアンサー。山田尚子監督のひとつの到達点 | NiEW(ニュー)

    8月30日(金)よりアニメ映画『きみの色』が劇場公開中。何より注目は、監督・山田尚子×脚・吉田玲子×劇伴・牛尾憲輔という、映画『聲の形』のクリエイター陣による最新作であることだろう。 若者の感情やコミュニケーションという共通のテーマを持ちながら、『きみの色』は穏やかで心地よい空気に満ちた「溢れ出る感情」を肯定する映画だった。 『聲の形』と共通する「感情」や「コミュニケーション」というテーマ 映画『聲の形』はたくさんの絶賛の声が届いた一方で、原作マンガから小学生時代のいじめを発端とした物語でもあり、観るのがつらい、拒否反応を覚えたという声も少なくなかった。 そして、同じクリエイターチームが手がけた『きみの色』は、若者たちが傷つけ合う様を捉えた『聲の形』のアンサーともいえる。後述する「溢れ出る感情」を肯定的に捉えた作品で、いじめが描かれることもなく、関係がギスギスしたりもせず、穏やかで心地よ

    映画『きみの色』は『聲の形』のアンサー。山田尚子監督のひとつの到達点 | NiEW(ニュー)
  • 折坂悠太が新たな風をまとって語る『呪文』。この世界に、しいて何か望むなら | NiEW(ニュー)

    キッチンの一角に佇む折坂悠太の姿をとらえたアルバムジャケット。暮らしのワンシーンを切り取ったその写真からも伝わるように、コロナ禍のヒリヒリとした空気をまとった前作『心理』(2021年)から一転、ひさびさの新作『呪文』には穏やかで心地のいい風が吹いている。 昨年末に先行リリースされた“人人”(BS-TBSドラマ『天狗の台所』主題歌)で示されていたように、収録曲の半数には静かな歌の風景がゆったりと広がっている。その一方で、“凪”や“努努”にはsenoo ricky(Dr)、宮田あずみ(Cb)、山内弘太(Gt)を中心とする骨太なバンドのグルーヴが渦巻く。ラストを飾るのは希望に満ち溢れた“ハチス”。いずれの楽曲からも現在の折坂の好調ぶりが伝わってくる。 多様な歌の数々をまとめているのは、『呪文』という意味深なタイトルだ。2023年に音楽活動10周年を迎え、新たな10年へと歩み出した折坂が綴る生活の

    折坂悠太が新たな風をまとって語る『呪文』。この世界に、しいて何か望むなら | NiEW(ニュー)
  • 21世紀のコーネリアスとアンビエント。人生も半ばを過ぎて語る、YMOの3人に思うこと | NiEW(ニュー)

    近年のCorneliusのアンビエント的楽曲を収めた作品集『Ethereal Essence』。そのリリースのアナウンスに触れた際、意外な驚きがあった。 アンビエントポップを意識したアルバム『夢中夢 -Dream In Dream』(2023年)や、『AMBIENT KYOTO 2023』への参加、あるいは近年のアンビエントリバイバルの背景を考えれば自然な成り行きとも思えるけれど、Corneliusはアンビエントに対して慎重な距離感を保っていたようにも感じていた。 稿では、Cornelius=小山田圭吾がどのようにアンビエントミュージックに親しみ、その音楽性に取り込んできたかについて話を訊いている。そしてそれは同時に、ミニマルミュージックを通過した独自のサウンドデザインの美学を紐解くことにもつながっている。インタビューは旧知の間柄で、『STUDIO VOICE』の元編集長・松村正人を聞き

    21世紀のコーネリアスとアンビエント。人生も半ばを過ぎて語る、YMOの3人に思うこと | NiEW(ニュー)
  • ノラ・ジョーンズ、音楽づくりを語る「その瞬間の感覚を捉えたい」 | NiEW(ニュー)

    「ノラ・ジョーンズ(Norah Jones)はどんなアーティストなのか」という問いを投げられたとしたら、僕はうまく答えられる気がしない。言うまでもなくノラは“Don’t Know Why”の人ではあるのだが、それは最初期だけの話。その後、発表された作品群を聴いてみると、似たようなものがほとんどない。それぞれがその音楽性だけでなく、サウンドの質感なども含めて、いちいち異なっている。そのうえ、そこに傾向があるようにも思えない。プロデューサーやコラボレーターだって様々な人が起用されていて、その共演者に合わせて、大胆に変化もしている。それはノラのソロ作にも言えるし、The Little WilliesやPuss N Bootsなどのプロジェクトでも同様だ。おそらくノラは常に「そのときの自分」を表現してきた。それはまるでその時期のスナップショットのようなものにも思える。 しかも、そのときどきのノラの

    ノラ・ジョーンズ、音楽づくりを語る「その瞬間の感覚を捉えたい」 | NiEW(ニュー)
  • 岸野雄一×出口亮太対談 「楽しい」からやり直す、芸術文化と地域コミュニティ | NiEW(ニュー)

    文化関係者にとっても試練の季節となったコロナ禍を経た現在。他方、それ以前から山積みとなっていた高齢化や福祉の不足、地域コミュニティの衰退などの社会的課題は、さらにその切実さ、複雑さを深めている。こうした時代に求められる、文化の姿とは何か? 今回はそんな問いを、地域のなかでしなやかに活動する2人のプレイヤーが話し合った。 1人目は、日各地で盆踊りを現代的にアレンジした祝祭の場をオーガナイズし、2023年には地元の東京・墨田でイベント『すみゆめ踊行列』も成功に導いたスタディストの岸野雄一。そしてもう1人は、長崎県長崎市で「長崎市北公民館」「長崎市チトセピアホール」「長崎市市民活動センター ランタナ」という3つの公共施設の指定管理者を務め、行政的には異分野とされるこれらの施設の連携を模索してきた出口亮太。2人は過去にも、公共施設の新しい使い方や、公共空間と文化の関係について対談を重ねてきた旧知

    岸野雄一×出口亮太対談 「楽しい」からやり直す、芸術文化と地域コミュニティ | NiEW(ニュー)
  • 映画『オッペンハイマー』は反核映画なのか?ノーランが幻視した「壊された世界」 | NiEW(ニュー)

    © Universal Pictures. All Rights Reserved. © Universal Pictures. All Rights Reserved. 近年、映画『オッペンハイマー』以上に賛否両論の度を越して醜聞と賛辞が噴出した作品はなかっただろう。 作はクリストファー・ノーラン監督に、自身初『アカデミー賞』作品賞受賞の栄誉をもたらした。しかし一方で、現代の価値観に則って言い逃れし難い批判も存在しているのもまた事実だ。その一部はここでも紹介しているが、作は政治的には必ずしも正しい作品ではないかもしれない。しかしその先で、映画監督としてクリストファー・ノーランが世界に対して描き出そうとしたものがたしかにあった。それは一体何だったのだろうか。ライター/マンガ研究家の小田切博が論じる。 ※記事には映画編の内容に関する記述が含まれます。あらかじめご了承下さい。

    映画『オッペンハイマー』は反核映画なのか?ノーランが幻視した「壊された世界」 | NiEW(ニュー)
  • ビヨンセ『COWBOY CARTER』――「アメリカ音楽」を再定義する広大な80分間の旅 | NiEW(ニュー)

    「これはカントリーのアルバムではない、ビヨンセのアルバムだ」(ビヨンセInstagramより) 過去10年間自らの作品を通じて黒人音楽の伝統を追跡し、その位置を確立してきたビヨンセ。3部作となるシリーズの1作目『RENAISSANCE』では、ハウスやダンスサウンドに傾倒し、ダンスホール、ブラックネスとクィアへの賛辞を描いた。 続編となる今作『COWBOY CARTER』は、カントリーミュージックを出発点として、その周辺のナッシュビルサウンド、クラシックロック、現代のラップ、そしてR&Bまでもを探求しながら、文化的な「アメリカらしさ」を問いかける作品となった。なぜビヨンセは今、カントリーを選んだのだろう。そして、「ビヨンセのアルバムだ」という言葉の意味とは? カントリーミュージックとは そもそもカントリーミュージックとは、1920年代、北米の南北に聳えるアパラチア山脈の南方にて生活していたイ

    ビヨンセ『COWBOY CARTER』――「アメリカ音楽」を再定義する広大な80分間の旅 | NiEW(ニュー)
  • 映画『オッペンハイマー』に対する渡辺謙、落合陽一、元広島市長ら22名のコメント公開 | NiEW(ニュー)

    3月29日(金)より全国公開される映画『オッペンハイマー』(原題:Oppenheimer)を一足先に鑑賞した各界の著名人ら22名によるコメントが公開された。 同作は、第二次世界大戦下、原子爆弾を開発したアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を実話にもとづき描いた物語。クリストファー・ノーランが監督、キリアン・マーフィーが主演を務め、日時間3月11日(月)に発表された『第96回アカデミー賞』では最多となる7部門を受賞した。 コメントは日版予告のナレーションを担当した俳優・渡辺謙のほか、白石和彌、樋口真嗣、原田眞人、森達也といった多くの映画監督が寄稿。『ゴジラ-1.0』で監督を務めた山崎貴はコメントに加え、クリストファー・ノーランとのアカデミー賞受賞監督同士による対談映像も公開されている。 このほかにも計算機科学者の落合陽一、物理学者の橋幸士、『この世界の片隅に』

    映画『オッペンハイマー』に対する渡辺謙、落合陽一、元広島市長ら22名のコメント公開 | NiEW(ニュー)
  • 柴田聡子と夏目知幸対談。長い付き合いの中で初めて語る、お互いの音楽と人生の移ろい | NiEW(ニュー)

    柴田聡子が、7枚目となるアルバム『Your Favorite Things』をリリースした。前作『ぼちぼち銀河』から表面化してきたダンスミュージック〜R&B的な志向が、ライブでも演奏をともにする岡田拓郎との共同プロデュースによってより一層鮮やかに開花し、柴田のキャリアにおける新たな転換点というべき作品となった。その一方で、繊細なサウンドメイクにもさらに磨きがかかり、一個のアルバム作品としての完成度もかつてないレベルに達している。 また、彼女の歌唱にもこれまでにない細やかなニュアンスが宿っている上、そこに乗せられる言葉の機微も一段と切れ味を増し、一人のシンガーソングライターとして新たな「ゾーン」に突入したことを告げている。 そんな柴田の才能をかねてより高く評価し、シャムキャッツとして活動していた時代から度々共演を重ねてきたのが、夏目知幸だ。彼もまた、ソロプロジェクトSummer Eyeのデビ

    柴田聡子と夏目知幸対談。長い付き合いの中で初めて語る、お互いの音楽と人生の移ろい | NiEW(ニュー)
  • 「私は何のために作られたの?」と問うているのは、映画『バービー』それ自体かもしれない | NiEW(ニュー)

    現代的な問題意識を色濃く反映した映画 歴史あるファッションドールの世界を実写化するという難題に挑んだ大作映画、『バービー』。公開前から大掛かりなプロモーションが展開され、米国でも巨大なヒットを記録するなど、ここ最近の新作映画の中でも飛び抜けた話題作となっている。 監督 / 共同脚をグレタ・ガーウィグが務め、主演兼製作にマーゴット・ロビー(バービー役)、助演にライアン・ゴズリング(バービーのボーイフレンド、ケン役)が名を連ねる作は、子供用玩具としてのバービー像からは大胆に離れた、様々な意味で「大人向け」の内容となっている。 バービー人形歴史は1959年に遡る。マテル社の共同設立者ルース・ハンドラーによって開発された初代バービー人形は、「トイドールといえば赤ん坊を模したもの」という玩具業界におけるそれまでの常識を打ち破る、ハイティーン女性の姿を形どったものだった。長身の体型やブロンドヘ

    「私は何のために作られたの?」と問うているのは、映画『バービー』それ自体かもしれない | NiEW(ニュー)
  • 1