世間では必ずしも科学的な知見に基づいていない知識が、心理学と称されて流行しています。これらは、アカデミックな心理学の対比として、ポップサイコロジー(大衆的な心理学)と呼ばれています。このポップサイコロジーの流行に対して、心理学者はどの様に考えているのでしょうか? 九州大学の山田祐樹先生にお書きいただきました。 認知心理学者を自称している私ですが,大学には犯罪心理学者になりたくて入学しました。当時の私はプロファイラーになりたくて仕方がなかったのです。そう思うようになったのは,高校生の頃までに映画,ドラマ,小説,漫画などから多大な影響を受けていたからでしょう。私は昔からそういった作品をたくさん観たり,読んだりするのが好きでした。しかし心理学についての「ちゃんとした」学術書や論文に触れる機会は皆無だったので,私が心理学に対して持っていた印象や知識はおそろしく歪んでいました。また大学で開講されてい