ノーベル物理学賞の受賞が決まった梶田さんは、物質を構成する最も基本的な粒子である「素粒子」の1つ、「ニュートリノ」に質量があることを裏付ける「ニュートリノ振動」という現象を世界で初めて捉え、ニュートリノに質量はないとされてきたそれまでの素粒子物理学の定説を覆しました。 ニュートリノの性質を詳しく調べるため、梶田さんらの研究グループは岐阜県飛騨市の地下1000メートルに設けられた「カミオカンデ」という施設で観測を始めました。この施設は壁一面に取り付けられた高感度のセンサーでニュートリノが水と反応したときに出る僅かな光を捉えることで、ニュートリノの飛んできた方向や時刻などを正確に把握することができます。「カミオカンデ」での観測の結果、平成元年、梶田さんらは太陽から放出されたニュートリノの数が、予想される数の半分程度しか地球に届いていないことを明らかにしました。 この成果は、太陽から放出されたニ