原告は02年に採用された。数年後、ヘイト本や歴史改竄本のコピー、「在日は死ねよ」などの書き込みが付いたネット文書の社内配布が始まった。会長に追従する社員の感想文も含め、月1000枚に達した時もある。会長肝煎りの育鵬社教科書採択運動への参加まで推奨された。代理人を介した停止要請は拒まれ、事実上の「退職勧奨」もあった。やむなく提訴したが、返ってきたのは「恩情を仇で返すバカ者」「金目当て」、さらには左翼や弁護士に担がれたなど、社員による誹謗中傷だった。 一審の大阪地裁堺支部は執拗な文書配布、教科書採択への動員、提訴後の攻撃の3点を違法と認定し、会社側に賠償を命じた。 【企業による「差別醸成禁止」 職場環境配慮義務も認定】 だが会社は変わらない。賠償額の少なさから「実質勝訴」などと公式ページに掲載。原告らを批判する「支援者」のブログも配布され、「殴り倒してやりたい」などの社員コメントが配られた。こ