文言文を学ぶとき、虚詞(虚字とも)の学習が必要であると、よく説かれます。必要である理由を、思いつくままに挙げてみましょう。 韻文・散文を問わず、非常に高い頻度で文中にあらわれる。特定の一文字について言うと、実詞(名詞・数詞・動詞・形容詞)のそれと比較した場合、非常に高い頻度で登場します。 虚詞こそが、文の細かい表情を決定する。訓読ですますわけにゆかないゆえんです。 意味・用法が多岐にわたり、複雑であり、時代的な変遷も大きい。虚詞の辞書が必要です。 このように、虚詞の学習は特に必要なのですが、以前、別サイト「文言基礎」で『千字文』を読んだ際には、この問題にはほとんど触れませんでした。これには訳があります。『千字文』は、「重複しない千字を用いて韻文を作る」方針に貫かれていますので、他の文と比較して、極端に虚詞が少ないのです。それゆえ、虚詞の学習のためには、よい教材であるとは到底言えません。そこ