尼崎JR脱線事故から14年となるのを前に、兵庫県こころのケアセンター(神戸市中央区)が、負傷者20人から心の傷や回復の経緯を聞き取る調査を行った。これまで統計的な「量的調査」を実施してきたが、今回は、対象者の語りを丁寧に分析する「質的調査」を初めて導入。色濃く浮かび上がったのは、乗客106人が亡くなった中で生き残った「罪悪感」だった。 同センターは事故後、負傷者に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状などをアンケートし、数値化してまとめる調査を3回実施。この「量的」な分析は、おおまかな特徴がつかめる一方で表面的な内容にとどまる傾向があり、「質的」に調べることにした。 昨年9~11月、30~80代の男女20人に、1人ずつ約1時間半かけて自由に話してもらった。内容を文字に起こし、一つ一つのフレーズを細かく検討。「事故直後の記憶」「家族の傷付き」「JR西日本との関係」など15ほどのカテゴリーに