大阪府内唯一の村、千早赤阪村が村内に一軒もないコンビニの誘致に取り組んでいる。府内の自治体でコンビニがないのは同村だけ。開店を望む住民の声は多く、開業資金の半額を助成する制度を昨年導入した。事業者の負担を軽くして出店を促すアイデアだが、過疎化が進む村に出店するメリットは少なく、出店業者はまだ現れない。村民の“悲願”といえるコンビニは誕生するのか。【金志尚】 千早赤阪村は、富田林市と河内長野市、河南町に囲まれ、奈良県にも隣接する。南北朝時代の武将、楠木正成(くすのき・まさしげ)の出身地として知られ、日本の棚田百選に入る「下赤阪の棚田」もあり、歴史と景観は有名だ。 一方、買い物の環境は厳しい。村に大型スーパーはなく、飲料水やカップ麺などを扱う個人商店が数軒並ぶだけ。生協による週1回の移動販売もあるが、必要な物を買いそろえるために村外に出る人は多く、約40年間暮らす辻本正幸さん(73)も「食