ブックマーク / charis.hatenadiary.com (3)

  • ヌスバウム『感情と法』(3)[羞恥について] - charisの美学日誌

    [読書] ヌスバウム『感情と法』(慶応大学出版会)  (3) (承前) 今日は「羞恥」についてです。 嫌悪が、人間の動物性にストレートに関る感情であったのに対して、「羞恥」は、動物的なレベルとは異なる人間固有の「自我のあり方」に基づく感情である。羞恥とは、当然できなければいけないと見なされていることができない、という意味での自分の欠点が露わになることの苦痛の感情である。嫌悪感が、どうしようもなく露呈する自らの動物性への拒否感情であったのと違って、人間のあり方の「規範性」からの逸脱の感情が、羞恥なのである。ヌスバウムは、「羞恥」を次のように記述する。 >嫌悪感と同様に、羞恥は、私たちの社会生活の至る所に見られる感情である。・・・私たちは、人生を経てゆくに応じて、自分の弱点を他の長所で埋め合わせたり、それを克服しようと鍛錬したり、あるいは否応なく欠点があらわになってしまうような状況を避けたりす

    ヌスバウム『感情と法』(3)[羞恥について] - charisの美学日誌
    tsuka_ryo
    tsuka_ryo 2011/10/15
    しおり マックス・シェーラーとかクラインとか
  • ヌスバウム『感情と法』(1)[感情は認知的価値を持つ] - charisの美学日誌

    [読書] ヌスバウム『感情と法』(慶応大学出版会) (1) (写真は原書表紙。Hiding from Humanity というタイトルだが、Humanityという語の意味が通常とは違う。「おぞましさ」や「弱さ」を持つ「人間であること」の意味で使われている。邦訳ではこの絵は使われていない。) 現代アメリカリベラル派哲学者マーサ・ヌスバウムは、2004年にHiding from Humanity ―― Disgust, Shame and the Law を刊行した。2010年には邦訳『感情と法――現代アメリカ社会の政治的リベラリズム』(慶応大学出版会)も出た。書は、「怒り」「嫌悪」「羞恥」などのネガティブな感情の性を分析し、概念を十分に区別することによって、これらの感情が我々の生において果す役割、とりわけ公共的行為やジェンダー文脈における重要な機能を考察している。そして、それらが法の規

    ヌスバウム『感情と法』(1)[感情は認知的価値を持つ] - charisの美学日誌
    tsuka_ryo
    tsuka_ryo 2011/10/02
    "怒りという感情は高度な認知的内容を備えている""飢えや渇きといった身体的欲求appetiteであるとか、苛立ちやある種の憂鬱さのような、対象を持たない気分moodとは異なる"
  • ミリカン『意味と目的の世界』(1) - charisの美学日誌

    [読書] ルース・ミリカン『意味と目的の世界』(信原幸弘訳、勁草書房、'07年1月刊) (写真は著者近影。コネティカット大学名誉教授。) 非常に興味深いだったのでコメントしたい。バクテリアから人間の意識に至る進化の過程を、「表象」という一貫した構図で捉える実に雄大な構想だ。書のポイントは、自然主義の記号論にあり、人間の言語をモデルに記号を考える従来の発想に対して、著者は、原始的な生物もまた記号を用いて生命活動を営んでいると考える。たとえば、ある種のバクテリアは酸素の多い海水が苦手なので、細胞内の磁石が示すN極の方向へ動くことによって、酸素の少ない深い海へ移動できる。この場合、磁石のN極の方向と、酸素の少ない海水とは、因果関係で繋がっているわけではないので、この磁石は酸素の少ない海水のありかを「表象する(表現する、指示する)」原始的な自然記号として機能している(p61)。我々は人間のいな

    ミリカン『意味と目的の世界』(1) - charisの美学日誌
  • 1