原題”THE FAITH INSTINCT”。スティーブン・ピンカーの”THE LANGUAGE INSTINCT”(『言語を生みだす本能』)を意識して、その向こうを張ったものだ。 宗教を生み出し運用する能力は、言語を生み出し運用する能力と同じく、集団を内部で結束させ、他集団との戦闘などで有利にするために、進化によって積極的に選択された本能であり、何かの副作用でたまたま生じたわけではない。 というのが主な主張になる。 私は、この問題に限って言えば、ある程度グループ淘汰的な見方を受け入れるべきであろうと思っているので、全体としては同意できる部分が多い。 ドーキンスやピンカーが宗教の適応的意義を軽視しすぎている、という意見には、ほぼ完全に同意する。 厳しい戒律やタブーなど、宗教の持つ一見理不尽な要素も、それを行うコストによってフリーライダーの侵入を阻むためのものだ、という説明は、まあ常識的とい