視力が落ちてきた、耳が遠くなった、根気が続かなくなった。こうした肉体の衰えとともに、年をとってから心配になるのが、ボケや頭脳の衰えであろう。だが平均年齢93歳の「蟹江ぎんさん」の4姉妹は、3日おきに実家の蟹江家に集まり、“縁側談議”に花を咲かせて、互いに刺激し合っている。これがいちばんの“脳トレ”になるという。 そんな日ごろからのトレーニングが存分に発揮される出来事が、三女・千多代さん(94才)の身に起きた。 今年3月も終わりのこと。夕暮れ近く、そろそろ夕食の支度をと思っていたところ、茶の間にある電話が鳴った。 「バァちゃん、オレだよ、オレ、オレ……」 受話器を取ると、いきなりそんな声が聞こえてきた。千多代さんはすぐに振り込め詐欺の電話だと気づいた。このときの千多代さんの対応ぶりを再現すると―― 若い男:「もしもし、オレオレ、ねぇ、バァちゃん」 千多代さん:「えっ、なんだって、もう一ぺん