まずは金融面から見てみよう。 日本の学校法人として最初に債券格付けを取得したのは2003年の法政大学で、AA-(格付投資情報センター)とかなりの高水準だった。言うまでもなく、債券格付けは企業(ここでは大学)が債券を発行した場合、元利払いの確実性を記号で表したものである。経営の安定度を測るバロメーターとして、株式市場や資本市場では欠かせないインフラになっている。 法政大の格付け取得後、早稲田大学や慶應義塾大学、明治大学、青山学院大学、同志社大学、東洋大学、近畿大学などが相次いで格付けを取得・発表し、大学経営に格付けが浸透していった。 高い格付けを得た大学に証券会社が囁いたこと 2003年当時、少子高齢化はすでにはっきり表れている。金融機関は大学に対して、少子化時代を生き抜くために格付けを活用せよとセールストークを展開した。 金融は本質的に資金をため込むばかりでなく、資金を動かすことを求める。