子供観の変化 少子化の現代に暮らす私たちにとって、おそらく、子供はかわいく大切な存在です。ですが、もっと昔、たとえば江戸時代に、子供は社会のなかでどのような存在だったのでしょうか? 現代と同じく大切にされ十分な教育を与えられていたのか、それとも「小さな大人」とみなされて労働などでこき使われていたのか。こうした「子供観」は時代や地域によって変化します。昔の子供観を復元するうえで、歴史学や考古学は大きな役割を果たしてきました。 歴史学や考古学の成果によって、江戸時代の前半、17世紀から18世紀にかけて、庶民の子供観に変化があったことが明らかにされています。経済が安定し文化が成熟したことで、相続をともなう家意識が庶民にも広まり、子供の教育や健全な発達により細やかな注意が向けられるようになりました。その結果、18世紀以降には、たくさんの育児書が広く庶民に向けて出版されるようになりました。また、家意