ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー著『その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』(古屋美登里訳、新潮社、2020年)は、著名な映画プロデューサーであったハーヴェイ・ワインスタインのセクシュアルハラスメントや性暴力に関する被害女性たちによる証言をニューヨーク・タイムズの女性記者二人がまとめたノンフィクションだ。 同書のポイントは、著者らが#MeToo運動やフェミニズム運動に親和的な立場から、被害女性らが性暴力を告発し、報道につながる経緯及びその後の社会の変化をも丁寧に記し、性暴力と闘うためにはどうしたらいいかを読者に考えさせていることだ。さらに、告発する女性を支えるさまざまな女性たちの連帯にスポットを当てている点も特筆に値する。住む場所も職業も全く異なり、これまで会ったこともなかった被害女性たちがカリフォルニアにある女優のプライベートな住居に集まる終章は、女性たち