今年の『カンヌ国際映画祭』「ある視点」部門に出品され、カメラドール スペシャル・メンションを授与された映画『PLAN 75』。舞台は、75歳以上の人に自らの生死を選択できる権利を与える制度「プラン 75」が施行された、近い将来の日本。経済的合理性を優先し、人の痛みへの想像力を欠く社会──その様子が、決して遠い未来の話に思えないのが苦しいばかりだ。 2000年代半ば、ニューヨークから10年ぶりに帰国した早川千絵監督は、日本で「自己責任」という考えが広まっていたことに憤りと違和感を覚え、本作を企画したという。「人の命を生産性で語り、社会の役に立たない人間は生きている価値がないとする考え方は、すでに社会に蔓延しているのではないか」と監督は危機感を示す。 社会的弱者を叩き、自己責任で片づけられてしまう風潮にいつの間にか巻き込まれてしまってはいないか。映画、そしてこのインタビューを通じて、もう一度社