当初の方針に固執せず、柔軟な判断をみせた県庁と県知事には県民の一人として敬意を表したい。とはいえ、問題は全面的な解決を見たわけではない。県立川崎図書館は川崎市殿町地区への移転という方向性が示されたが、横浜の紅葉ケ丘にある県立図書館の将来像は白紙の状態にある。二つの施設を軸にした県立図書館の将来像をこの機会に確立しなくてはいけない。 私は昨年11月に「神奈川の県立図書館を考える会」を発足させ、この問題を集中的に考えてきたが、次の方策が必要だと考える。 (1)類縁機関との機能的連動の検討と実施、(2)川崎図書館のさらなる機能強化、(3)横浜・紅葉ケ丘図書館の役割の再定義、(4)全県民的な議論と合意のための仕組みの設置-である。 (1)については、県立図書館以外にも県には多数の図書館的な施設がある。例えば、県立かながわ女性センター図書館(藤沢市)、県立金沢文庫(横浜市金沢区)、県議会図書室