授業よりも超能力やUFOのサークル活動に夢中だったという「神保町のオタ」さんは、大学卒業後、京都で就職する。入社してしばらくは忙しかったことから、SF関係からは離れていたという。 「それでも、栗本薫の『グイン・サーガ』シリーズは読み続けていましたね。ヒロイック・ファンタジーが好きなんです」 オタさんが本格的に古本屋通いをはじめたのは、30代に入った頃だった。当時、神保町には『SFマガジン』のバックナンバーを揃えている古本屋があり、上京するたびに買いに行ったという。その際、すずらん通りにあった〈書肆アクセス〉に入った。地方・小出版流通センターが直営する書店で、地方出版やミニコミを扱っていた(2007年に閉店)。ここで古本好きのための雑誌『彷書月刊』を見つける。毎号、ユニークな特集を組んでいた。 「私が買ったのは、『サンカの本・その世界』という特集の号でした(1990年9月号)。それから毎月買