むかしZくんという男の子に会った。Zくんは4歳のアメリカ人。お父さんが研究者/アーティストで、お父さんが東京で講演をするのに着いてきたのだ。 Zくんに初めて会ったのは新宿にある、繭のかたちをした真新しいビルの控室だった。窓の外には新宿のまちが広がっている。Zくんは突然私に話しかけてきた。それは「今日の朝の地震さ、地震ってあんなくらいしか揺れないの?全然大したこと無いね」ということだった。つんとして強がっているのがかわいかった。 彼は繊細で、賢く、人懐っこい子だった。「彼にしかできない役割」をいくつか持っていた。そのひとつがエレベーターのボタンを押すこと。エレベーターで移動をしたい場合、そのボタンを押すのはZくんだ。他の人が押すと「どうしてそんなことをするんだ」と泣いた。 アメリカと日本の時差はけっこうひどい。Zくんは五時に置きて18時には寝るという完全なルーチンができていた。お父さんはZく