2010年12月28日18:56 カテゴリ本経済 市民社会とは何か 民主党政権が迷走するのは、自民党のように既得権保護という一貫した方針がないためで、必ずしも悪いことではない。問題は、既得権に代わる理念を彼らがもっていないことだ。しかしそのヒントは、菅首相や仙谷官房長官の学生時代にあるかもしれない。 彼らが所属した構造改革派は、全共闘の主流だったマルクス=レーニン主義とは違い、議会主義によって権力を取る穏健派だった。特に菅氏が創立に参加した社会市民連合(のちの社会民主連合)は、その名のとおり、プロレタリアートではなく市民を変革の主体とする新しい党だった。本書は、こうした「市民派」の依拠する市民社会の概念をアリストテレスにさかのぼって検証し、その日本的なバイアスを明らかにしている。 市民社会(societas civitas)という言葉は、古代ギリシャではポリスの「国家共同体」という意味で、