前回提起した問題、つまり、アニメ『らき☆すた』第1話の食べ物に関するエピソードについての問題とは、簡単にまとめると、こういうことである。すなわち、われわれは、ある時には、何かについての価値判断の多様性を認める。あるものに対する評価について、そこでの評価が多様になったり、相反したものになったとしても、そうした違いを相互に認め合うことができる。しかしながら、別の場面においては、何らかの「正しさ」が争われ、あることに対してどう判断するのかということを巡って、例えば、正常/異常、常識/非常識という区別がなされる。 前回は、こうした議論を、「KY」という流行語と関わらせながら、展開していったわけだが、ここでのポイントとは、共通前提の崩壊という仮定にある。意見の相違や価値観の多様性などというものは、一般的に考えれば、極めて当たり前のことであって、ことさらに問題にすべきことではないだろう。しかしながら、