御伽草子. 第19冊 (一寸法師) - 国立国会図書館デジタルコレクション ※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 【原文】 斯《か》くて、年月《としつき》送る程に、一寸法師十六になり、背《せい》は元のまゝなり。 然《さ》る程《ほど》に、宰相殿に十三にならせ給ふ姫君、御座《おハ》します。 御形《おんかたち》優れ候へば、一寸法師、姫君を見奉りしより、思ひとなり、 「如何《いか》にもして、案を巡らし、我が女房にせばや」 と思ひ、或《あ》る時、貢物《みつもの》[三つ物?]ゝ打ち撒き取り、茶袋《ちやぶくろ》に入れ、姫君の臥して御座しけるに、謀《はかりごと》を巡らし、姫君の御口に塗り、さて、茶袋ばかり持ちて、泣き居たり。 宰相御覧じて御尋ね有りけれバ、 「姫君の、私《わらハ》が此の程、取り集めて置き候ふ打ち撒きを、取らせ給ひ、御参り候」 と申せバ、宰相殿《