ヨミウリ・ウィークリー 2005年12月4日号 (2005年11月21日発売) 茂木健一郎 脳の中の人生 第79回 脳への最大の報酬 一部引用 脳は快楽主義者である。何か行動を起こして、その結果脳の中で報酬(うれしいこと)を表す物質であるドーパミンが放出されると、その行動が強化される。赤ちゃんがお腹が空いて泣き、ミルクがもらえると、「お腹が空いたら泣く」という行動が強化される。学校で宿題をやって先生にほめられれば、ちゃんと勉強をしようと思う。このような「強化学習」を通して、人間は少しずつ変わって行く。 脳の神経細胞をつなぎ変える上で、快楽ほど強烈な作用を持つものはない。快楽は、いわば脳が作りだした「変わるための魔法」なのである。極端な場合、中毒患者に見られるように、特定の快楽のことばかり考え、それを得るための行動を繰り返すことだってあり得る。快楽の処方には、気をつけなければならない。「快