「ゼロベース思考」という言葉がある。今までの考え方、成果、仕事のやり方、制度や設計、すべて忘れて新しいことを追求しようという姿勢のことである。 人も組織も存続している限り、何らかの成功体験がある。そして、それを継続したいという気持ちがある。毎年、稲作に励んできた農耕民族には特に顕著な気持ちだ。昨年通りのことをすれば、そこそこの成果が得られるのが農耕だから、できればそうしたいと思ってしまう。 しかし、ゼロべース思考では、過去と一度決別する。これはまるで、これまで一生懸命ためてきた貯金を一度捨てろと言われたみたいなもので、なかなか誰も行いたくはないことだ。しかし、この思考方法ができなければ、大きな成長も大きな成功もないと思った方がいいだろう。 途中で引き返し、イチからやり直すことの意味 山登りに例えてみる。富士山に登ろうと固く決意して山登りを始め、何時間もたって、この山は富士山ではないことが分