ブックマーク / cruel.hatenablog.com (13)

  • ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第9講:存在の連鎖の時間化 (これで全部終わり!) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    はいはい、ちょっとだけ残すのもいやだったので、やってしまいましたよ。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』全訳 (pdf、3.3MB) これまでずっと続けてきたラヴジョイ、これで注も含めて全訳あげました。詩とか、長々しい引用とかはあまりに面倒なので訳しておりませんが、詩は苦労してそれっぽく訳したところで、何か追加でわかるわけではないし、引用部分も決して追加情報があるわけではない。文中でラヴジョイが語ったことの裏付けでしかないので、まあ許しなさい。 cruel.hatenablog.com これで一通り訳し終わったが、もちろん内部利用用なのでみなさん勝手に読んではいけませんよ。 9章:存在の連鎖の時間化 さて残っていた第9章は、存在の大いなる連鎖の時間化、というもの。ここはそれなりにおもしろい。が、テーマは簡単。静的な存在の連鎖/充満の原理は、ライプニッツ&スピノザの章で見たように、決定論的な世

    ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第9講:存在の連鎖の時間化 (これで全部終わり!) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    turanukimaru
    turanukimaru 2024/05/10
    アリストテレスの「それ以外に存在し得ないものは存在する」を基にすれば科学的な意味で存在と幻想の違いは明白でプラトンを基にしたのが科学的に間違ってるんだけど非表示のコメントってblog主も読めないんだっけ?
  • ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第2講:ギリシャ哲学と三つの原理 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    お待ちかね (だれも待ってないか) 『存在の大いなる連鎖』第2講の翻訳。 まずは、暇な人は訳をごらんあれ。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第2講:ギリシャ哲学における観念の創成:三つの原理 みんな読まないだろうからあらすじを。 前回の第1講は、そもそも観念史って何をする学問なの? という疑問に答えたものだった。 cruel.hatenablog.com 今回は、このシリーズで実際に扱う「観念」を紹介する。具体的には次の3つの原理となる。 充満の原理 連続性の原理 段階性の原理 プラトンが『国家』『ティマイオス』で、神さまというのはすんげえ隔絶したえらい絶対永遠真実完全な存在なんだぜ、この世なんか相手にしないほどすごいぜ (異世界性)、と言っておきつつ、じゃあなんでその神さまはこんな世界作ったりしたんだよ、なぜそんなえらい神さまがつくった世界に悪があり、苦しみがあるんだよ、というのに答えね

    ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第2講:ギリシャ哲学と三つの原理 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』の最終講:存在の連鎖は破綻した無意味な思想 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』の翻訳を始めた話はした。 cruel.hatenablog.com 素直に第2講を初めて、半分くらいはおわっているんだけれど、そもそもこの話がどこへ行くのか知りたくて (はい、推理小説もまず最後を読むタイプです)、最後の第11講をあげてしまいました。 ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』第11講 (最終回) もちろん、このpdfを読むとそれなりにウダウダしい。だが、そこで言われていることは、第1講と同じでとてもシンプルではある。それはつまり、以下の通り: 「存在の連鎖」という観念は最終的に、二千年かけて詰めていったらボロボロでまったく整合性がないことが明らかになった。 だから破綻して、すると一気に忘れられてしまった。 思想そのものの現代的な価値はまったくない。 ただこういう変なものにハマる精神の働き (すでに蒸し返すバカも出てる) の記録という意味はあるかも。

    ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』の最終講:存在の連鎖は破綻した無意味な思想 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ラヴジョイは「冷笑系」:非ビリーバーの優位性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』を勝手に翻訳している話をした。 cruel.hatenablog.com で、引き続きやっていて、第2講もいまのところ、なかなかおもしろい。まだ前半だけだけれど、言われていることはやはり単純だ。 頻出する観念として「異世界性」と「この世性」みたいなのがある。 異世界性は、来世の天国で処女が17人!とか、この世が気にわんから異世界転生するなろう小説みたいなもの欲しげな話とはちがう。そういう異世界転生って、この世の価値観のまま自分の都合のいい世界になるってことで、「この世性」の権化。 当の異世界性というのは、この現実は現実ではなく、永遠不変の絶対的な善の世界があるのよ〜みたいな話。 この手の論者はみんなインチキ。なんだけれど、西洋思想では圧倒的にこの異世界性が大きな影響を持つ。宗教なんてみんな神さまだのといったありもしないものを押しつけるという理屈で、この異

    ラヴジョイは「冷笑系」:非ビリーバーの優位性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • オーウェル『1984年』全訳完成 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Big Brother is Watching YOU!!! 2023年の年頭に宣言した通り、オーウェル『1984年』の全訳をあげました。 genpaku.org html版と、pdf版があるので、まあお好きに。当然、クリエイティブコモンズなので、自由にお使いください。個人的にはいま出版されているどの翻訳よりもいいとは思うが、それは趣味もあるでしょう。商業出版したいとかいうところはあるかなー。なければ自分で電子ブックでも作って売ろう。 追記:商業出版したいというところが出てきたので (まだ確定ではありません) 、いまのうちにダウンロードしたりあちこちにばらまいたりしておくといいと思うぞ。(11/28) ビッグ・ブラザーのポスターでもトップにかざろうかと思ったけれど、みんなおどろおどろしいものばかりで、小説の記述に即したニュートラルなものがあまりないので少しびっくり。 訳していて、いろいろ含

    オーウェル『1984年』全訳完成 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ピケティ『資本とイデオロギー』読書ガイド - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    目次: 目次: はじめに 1. 『資とイデオロギー』の概略 1.1 .『21世紀の資』のあらすじ: 1.2. 『資とイデオロギー』の全体的な話 1.3. 『資とイデオロギー』のあらすじ 第I~II部:歴史上の格差レジーム/奴隷社会&植民地 第III部:20世紀の大転換 第IV部(その1):政治的対立の次元再考——問題編 第IV部(その2):政治的対立の次元再考——対策案 (第17章) 第IV部(その3):政治的対立の次元再考——対策案 (その他随所) 2. 通読する必要はないと思う 3. タイプ別読み方 『21世紀の資』の続きとして読みたい人、つまり経済格差とその対応を知りたい人は…… 経済格差への対応を知りたい人は…… 世界各地の格差の変動プロセスの比較に興味ある人は…… 4. 最後に はじめに このたび、ついについに難産の子、ピケティ『資とイデオロギー』が出ました。 資

    ピケティ『資本とイデオロギー』読書ガイド - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    turanukimaru
    turanukimaru 2023/09/18
    「左派は右派の保護者ではない。」とのコメントが人気だが、左派は弱者の保護者か代表だというのが趣旨で、右派の話はしてないのだが。なぜ左派は右派との争いの話ばかりする?弱者の代表をやめたって話そのままだな
  • プーチン重要論説集 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    なんかこんなのを作ってしまったので、読みたい人は読みなさい。何かお気づきの点があればご教示たもれ……と思ったら商業出版の話が出たので、無料公開は停止。 なお、ウクライナ侵攻のときの演説が変だという検討については、第4期のまとめp.222- と、その対比で第3期のまとめp.153-をお読みください。 プーチン重要論説集 (星海社新書) 作者:ウラジミール・プーチン星海社Amazon 例によって、デスクトップ環境ではしおり/目次リンクがめちゃくちゃになるので。Adobeに上げてpdf化した。昨日よりは便利になったかな?

    プーチン重要論説集 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    turanukimaru
    turanukimaru 2023/04/09
    ロシア人にとっては最高の指導者なんだろうなぁってのはあるし、中世的価値観においては正しいんだろうな。ロシア人は中世よりだという調査もあるし、日本は中世ジャップランドとよく言われるが本物の中世がこれか。
  • ルイスのサイード批判:「オリエンタリズムの問題」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    先日、エドワード・サイードの『オリエンタリズム』の1995年あとがきや、新装版への2003年序文を訳した。 訳しても読んだ人は、たぶんぼく自身以外はあまりいないと思う。長ったらしいし、テメーらみんな、度しがたい怠けものだから。が、読んだ人なら (そしてもちろんあの『オリエンタリズム』をまともに読んだ人なら) その中でこれまで「オリエンタリスト/東洋学者」どもが、無知と偏見まみれでイスラム世界を歪めまくり、実態とは似ても似つかないものに仕立て上げ、自分たちのイデオロギーにあうように歪曲して、植民地支配と軍事支配に都合良く描きだして列強の世界収奪と支配に奉仕してきた様子が描かれており、そしてその代表例としてバーナード・ルイスがやり玉にあがっているのをご存じだろう。特に、1995年あとがきでは、ルイスが『オリエンタリズム』やそれが引き起こした風潮に批判を述べた Islam and the Wes

    ルイスのサイード批判:「オリエンタリズムの問題」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    turanukimaru
    turanukimaru 2023/02/18
    なるほどルイス達オリエンタリストがイスラムとの関係性を研究しているところにサイードが「お前らの態度は間違ってる!」とケチをつけたのかな?で、態度の問題じゃねえよむしろサイードの態度が学問的じゃねぇよと
  • ぼくは「モンティ・ホール問題」がよくわからない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    10月24日に、Change to Hopeというイベントがあって、スティーブン・ピンカーが来日して基調講演をする……予定だったのがコロナで来れずオンラインになってしまったんだが、ぼくがその司会役、というか質問係をおおせつかったのでした。 www.change-to-hope.com で、これは新著『人はどこまで合理的か』をベースに最近のネタを散りばめる講演で、ぼくも付け焼き刃でざっと読んでみました。基は、人はいろいろ数学パズルみたいなものにごまかされて合理性を発揮しにくくなる部分があるのだ、という話や経済学的な合理性の話などで、あとは合理性がいかにしてこれまでの人類の発展を率いてきたか、これからも理性をちゃんと使ってがんばらないといけないよ、というもの。一般向けの講義をまとめたものだそうで、人によっては知ってる話ばかりでつまらないかもしれない。まったく知らなかった目新しい話はない。類書

    ぼくは「モンティ・ホール問題」がよくわからない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    turanukimaru
    turanukimaru 2022/10/31
    ハギーワギー君を入れるまでもなく、山形さんが扉を選んだあと司会者が空気を読まずにランダムで扉を開けて正解を出して「残念でしたー☆」とやらかしてしまえるなら選択を変える必要はない。
  • 教養とは:漁父の辞と水処理 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 教養というと、実学に関係ないステータス財なのか、それとも実学にも役立つべきベースなのか、みたいな議論が起こる。だがその区別がない場合もあるし、それが理想かもしれないという気もする。大学の上水道学の講義で、屈原の「漁父の辞」に水処理の基原理が描かれていると、まさに我田引水 (水処理だけに) で強引に読み取ってしまった教授は、なんかそれに近いことをやっていたようにも思う。そこから、直接実学と関係なくても、それと関係あるものを引き出す契機、みたいな教養の捉え方はできないものか? 今日、イベントで教養について話せといわれてあれこれ駄弁ったのですよ。 lms.gacco.org その中で、教養の役割とかいう話になる。こう、教養というと、実学とは離れた古典知ってます、みたいな、ボリス・ジョンソンがホメロスをギリシャ語で暗唱できますとか、日なら四書五経だの漢詩だの

    教養とは:漁父の辞と水処理 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    turanukimaru
    turanukimaru 2022/06/10
    engineering という言葉はラテン語の ingenium が語源で、現れた素質、と言う意味だ。ガソリンには燃える素質があり、汚い水にはより汚い何かを洗う素質があり、古典からも工学的価値を引き出せる。その教授は本物の工学屋
  • 役に立つ研究とは、みたいな話だがまとまらない - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    昨日、『史記』の記述をもとに「知識人、昔から変わんねーなウププ」という小文を書いた。 cruel.hatenablog.com するとこれを見てツイッターで「昔の中国の儒学者は、いまの知識人とは役割ちがうんだよ、そんなことも知らないのかバーカ、いまの知識人は何も役にたたなくていいんだよクソが」という非常に建設的なコメントをしてくれた人がいる。えーと、これか。 当時の儒教は現代でいういわゆる「学問」ではないんだよね。役に立たないことに没頭する「学問」は余裕がある文化人にのみ許された行為であり、役に立たないからこそ価値があるの。役に立ったら学問としては邪道よ。 / “『史記』に学ぶべき知識人の役割とは - 山形浩生の「…” https://t.co/SjJeAf6dnj— でかいの (@dekaino) February 6, 2022 前半はその通り、というか、あそこに挙げた大室幹雄『滑稽』

    役に立つ研究とは、みたいな話だがまとまらない - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    turanukimaru
    turanukimaru 2022/02/08
    役に立たないからこそ学問だと言う人が「何故それこそが学問なのか」論拠を持ってるところを見たことが無い。我々アリストテレス学派も「どんなことでも正しく知るだけで価値がある」方針を取ってるだけではあるが。
  • 統計の不備と、各種統計の「相関」の話 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 統計の信頼性について疑問を呈した柳下毅一郎のツイートを、山形は一蹴した。が、その後勤労統計の集計方法の不備が露見した。ここから、この統計は捏造であり、それが相関しているならすべての統計が捏造だ、という極論を述べたブログが出た。しかし統計は、一かゼロか、完璧かすべて捏造か、というものではない。またその相互の関係も、機械的な関係があるということではない。信頼性の非常に広い幅の中で上下するだけなので、実際にどんな不備があってどのくらい影響を及ぼすのかを具体的に考えないと、妥当性のない陰謀論に流れてしまうだけだ。 はじめに しばらく前に、柳下毅一郎がこんなツイートをした。 アベノミクスで経済がよくなってるとおっしゃるリフレ派の方々は、なぜ財務省の出す経済指標は捏造されてないと信じられるのだろうか。— Kiichiro Yanashita (@kiichiro)

    統計の不備と、各種統計の「相関」の話 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    turanukimaru
    turanukimaru 2019/01/27
    統計というものは誰だって正解が分からないんだから、おかしかったら具体的に〇〇の調査結果と齟齬があるって主張しないと意味がないんだよね。繊維統計が創作(無調査)だったときもだけど使う人がチェックしないと
  • 人生の見直し。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    大学時代に単位を落とした構造力学、いつか勉強しなおそうと思ってずっと教科書をとってあったけれど、たぶんもうやらないだろうという悲しい認識に到達したよ…… ミシェル・フーコーの「性の歴史」も読まないだろうし、ましてドゥルーズ=ガタリも、そのうち読むかと思ったけど、「そのうち」はこないだろう。平井『ベルリン』三部作も、2度と読まないだろう (1度は通読したんだけどね) …… 大友克洋の初期作品集も、引っ越してきてから一度も開いてないし、レーニンは絶対読まないだろうし、いつかやりなおすつもりで取ってあった物理や電磁気学の教科書も、もう何年寝ていることか。紙の英和辞典とか、もう使うことなくなっちゃったよねー。マイナーな興味で買っていたチョコレートのとかもいらない。一つ処分を決めると「これがアレならこっちも処分だよねー」になっていって、大航海時代叢書とかほぼ一回も開かず状態、準オカルト系のとかも

    人生の見直し。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    turanukimaru
    turanukimaru 2017/03/02
    大学で買ったけど理解できなかった形而上学を去年読了したので、最初は理解できなかったことでも10年後にやり直せばわかる(こともある)と実感した。けど年が違うか……
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