私たち人間とイヌの関係は何万年も前にさかのぼる。確認されている最古のイヌの化石は、1万4000年以上前のものだと考えられている。写真は、イヌを連れた男性の絵がひつぎ(サルコファガス)に描かれたもの。(Photograph by Richard Barnes) イエイヌ(Canis lupus familiaris)の進化は長い期間にわたって起こった。その間、オオカミとイヌは交雑を続けたため、イヌ科動物の化石やDNAの分析は難しい。氷河期のオオカミとイヌの化石の中には、「初期イヌ(incipient dog)」と呼ばれるものがある。完全なオオカミでもイエイヌでもなく、その中間的な進化の初期段階のものだ。 初期イヌのうち、記録上最古の化石のものの1つは、1860年代にベルギーのゴイエ洞窟で発見された大きな頭蓋骨だ。この化石の年代は約3万6000年前で、現代のオオカミよりは先史時代のイヌに近く、