血縁があってもいっしょにいると傷つけ合ったり苦痛だったりするのであれば、それは無理に家族でいる必要がないと思う。 忘れもしない。田亀源五郎が一般誌で連載を開始すると聞いたときのことである。それは単純に、ゲイ雑誌や国内外のゲイ・アート・シーンで長く活躍してきた人物がこれまでとまったく異なるフィールドに挑むことに対する興奮もあったが、いまから振り返れば、それ以上に時代の変化を嗅ぎ取っていたのだとも思う。もしかすると、日本もゲイ・テーマの物語が広く伝えられる季節が来たのではないか……。実際にその作品、『弟の夫』が話題を呼び、時代を代表する一作となったのは周知の通りだ。 だから、このたび『弟の夫』がNHKでドラマ化され、大きな話題と高い評価で迎えられたことはやはり画期的な出来事だったと思う。それは同性愛がお茶の間に受け入れられたとかそういったレベルの話ではなく、同性婚や多様な家族のあり方、新しい時
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