鬱陶しい梅雨もそろそろ終わり、やっと夏らしくなって来た頃合いに暑苦しい揚げ物の話をするのも「季ぃ違い」で恐縮だが、一般家庭でカツやフライを作ると、パン粉の衣が剥がれやすくなって難儀している方もさだめし多いのではないだろうか。 ネットや料理書でカツ・フライ類のレシピを調べると、まず具材に薄力粉をまぶしてからボウルに溶いた卵液に漬け、バットに厚く敷いたパン粉の上に置き、上からパン粉をたっぷりまぶしてしっかり圧し附けると謂うふうに書いてあることが多い。 オレはかねてからこのやり方に疑問を持っていて、グルテン含有量が少なく殆ど粘りの出ない薄力粉をまぶしてから溶き卵をくぐらせてパン粉を圧着するのであれば、衣を構成する食材は存在しても具と衣を繋ぎ合わせる媒介物が一切存在しない。 薄力粉はカラッと揚げる為にまぶすだけだから、この構成だと普通の天ぷらなんかよりももっと粘りの少ない薄くて硬い生地でパン粉の衣