宇宙の始まりを再現する大型実験施設「国際リニアコライダー(ILC)」を誘致し、世界の科学者が集まり、関連産業が育つ国際都市をつくろうと、東北の北上山地(岩手県、宮城県)と九州の脊振(せふり)山地(福岡県、佐賀県)が綱引きしている。 日本はILC建設の最有力候補地と国内外の科学者からみられており、7月中にも国内の科学者らで作る「ILC立地評価会議」が地質や環境基盤の調査結果をもとに候補地を一本化する。 昨年7月、質量の起源とされる素粒子「ヒッグス粒子」が、スイスのジュネーブ近郊にある「欧州合同原子核研究機関(CERN(セルン))」の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で発見された。このLHC以上の性能を持つ加速器で、宇宙全体の27%を占める謎の「暗黒物質」の正体である素粒子などを見つけようというのがILC計画だ。 現在の計画によると、東京―横浜間に相当する全長31キロの地下の直線トンネルの両端