本が巻物から冊子に変わったのが4世紀後半と言われます。6世紀の政治家・学僧カシオドルスはその著『学術教程 (Institutiones) 』の中ですでに製本について述べていますが、当時の製本はコプト式と呼ばれる技法でした。インキュナブラ時代の製本技法は8~9世紀のシャルルマーニュ帝の時代 (カロリング朝時代) に確立されたもので、それまでのコプト式の製本より堅牢な本ができるようになりました。その特徴は折丁を背バンドという支持体に固定するように綴じてあることで、本の背にこぶのように突起した部分が見られることです。また中世の写本は獣皮の上に書かれていましたので反ったり、しわがよりやすく、それを防ぐため重量のある表紙をつけ、さらに金属の留め金 (clasp) をつけて本をきちんと閉じておくようにしたものもあります。本は横にして置かれるのが普通でしたので、表紙の四隅や中央に飾り鋲 (boss) を