「ビバップ」の音感をつかめるかどうか。それが体でわかるようになると、なにを聴いてもオッケーになるんです。(菊地) ―ジャズは一般的にはハードルが高い音楽というイメージがあると思いますが、その点についてお二人はどうお考えでしょうか? 菊地:人によって違うとは思うんですけど、チャーリー・パーカー(1920-1955年、アルトサックス奏者)が生み出した「ビバップ」の良さに気づけるかどうかが、ジャズにハマれるかどうかのベースになると思うんです。ビバップは、モダンジャズの起源とされるスタイルですが、どんなに言葉が変わろうとも、日本語の文法自体が変わらないのと同じで、ビバップの感じを口で歌えるっていうことが、ジャズができるってこととニアイコールだと思う。ただ、僕もすぐにはパーカーのビバップがわからなかったように、ジャズのハードルが高いと思われている根拠の70パーセントぐらいは、みんなビバップの音感がな
突然過ぎて意味がわからなかった。ギタリスト・笹久保伸が3月11日、Xにてジャズ評論家の柳樂光隆氏を名指しで批判し始めたのである。いわば音楽家から評論家へのカウンターだ。 ミーハーで口だけのクソみたいなやつに褒められても喜ぶフリをしないといけないんだから音楽家の人生も大変だよ。 若い人々は評価を無視して作品を作った方がいい。 近年自分の歩みの中で何か恥じることがあるとしたら、それは評論家・柳樂光隆みたいな中身のない人間に『良い』とか書かれたこと。 pic.twitter.com/2wvFFEJEPX — SHIN SASAKUBO (@shinsasakubo) March 11, 2024 私個人としては、柳樂氏が監修する『Jazz The New Chapter4』でディスクレビューを担当させてもらったし、主宰した『ネオホットクラブ13』にもゲスト出演してもらった。好意でインタビューさせ
カッサ・オーバーオールと共に「ジャズは死んだ」と連呼する、シオ・クローカー(Theo Croker)の楽曲「JAZZ IS DEAD」は大きなインパクトを与えた。 これまでにデューク・エリントンからマイルス・デイヴィス、近年ではニコラス・ペイトンなど、多くのミュージシャンたちが「ジャズ」という呼称を否定してきた。つい最近もミシェル・ンデゲオチェロが「ジャズ」ではなく「即興的ブラック・アメリカン・ミュージック」のほうがしっくりくるとRolling Stone Japanの取材で答えていたし、トランペット奏者のマーキス・ヒルは「今、できることはこの言葉について学ぶことだ」と語っていた。 「ジャズ」という言葉の是非を問う「JAZZ IS DEAD」は、何十年も前から語られ続けているトピックを、久々に議論の俎上に載せるきっかけになったと言ってもいいだろう。 2019年の『Star People N
昭和の時代。ジャズを聴き始めるなら、専門誌を読み、ジャズ喫茶でレコードを聴き、クラブで生演奏に触れるという流れが一般的だった。しかし、雑誌は廃刊、店舗も減少しつつある現在。初心者は一体、どの音楽家の、どんな作品から聴き始めればいいのだろうか。伝統のある音楽ゆえ、門外漢からは口が裂けても言えない現代の入門方法を、菊地成孔さんがズバリ答えてくれた。 現在、ジャズの魅力をさらに深掘る特設サイト「JAZZ BRUTUS」もオープン中! 2020年代的検索から入る、新しい入門 「ジャズをまったく聴いたことのない人にとって、クラシックや歌舞伎などと同様、歴史のある音楽だから、ハードルが高い印象があると思います。さらに、ジャンルは耳にすることはあっても、しっかりした流行がないため、初心者がアクセスしづらい。情報源が雑誌から電子版へ、お勉強の場がジャズ喫茶から動画へ移行しつつある昨今を鑑みて、初心者に限り
音楽用語の「スウィング」とは連続する音符のうち1つ目をやや長めに取り、2つ目をやや遅めに入れるリズムのことを指しますが、実際にスウィングがどういうものかイメージをつかむのは難しいもの。そんなスウィングがどういうものかを視覚的に理解できるツール「Groove Pizza」が公開されています。 Groove Pizza https://apps.musedlab.org/groovepizza/ 「Groove Pizza」の開発者であるEthan Hein氏が、Groove Pizzaの使い方を動画で解説しています。 Groove Pizza - Understanding Swing - YouTube Groove Pizzaでは、中央にある円形のテーブルが譜面となります。テーブルは16拍に分れており、各拍にある点がリズムを表しています。画面左下のゲージを上下させることで、「VOLUME
ジャズという言葉は差別用語に等しい。そう聞くと驚く人もいるかもしれないが、これはジャズの歴史においてずっと語られてきたことだ。例えば、ジャズ批評やアメリカ音楽史の名著でもこのように言及されている。 「ある晩、客の中にいた元ボードビリアンがウィスキーに酔ったあげく、Jass it up!と声援を送った。Jassとはシカゴの暗黒街の俗語でわいせつな意味を持っていた」(油井正一『ジャズの歴史物語』アルテスパブリッシング・刊) 「ジャズ(Jazz)は最初、Jassと綴られていた。情熱とか熱意と訳されているけど、真の意味は性的奔放であり、南部の黒人語では性交や女性器のことだった。かなり猥褻な意味があった。(中略)ジャズという言葉には黒人音楽であることの偏見があったし、白人たちは自分たちの家庭には入れたくないという意識がはたらいていた」(ジェームス・M・バーダマ、里中哲彦『はじめてのアメリカ音楽史』ち
2006年、19歳のときにベーシストのアヴィシャイ・コーエンのトリオに招かれ、2010年には自身のトリオを結成してデビューを飾ったシャイ・マエストロは(2018年)現在31歳。いまではニューヨークで活躍するイスラエル出身のジャズ・ピアニストを代表する存在となっている。 ドイツのレーベル「ECM」から初リリースとなるトリオ作『The Dream Thief』を発表したばかりの彼は、ECMレーベル・オーナーのマンフレート・アイヒャーがいかに特別な存在であり、子供の頃に聴いたキース・ジャレットの『The Köln Concert』が決定的な影響を与えたかという、既にメディアに登場している話も丁寧に説明してくれた。 と同時に、この作品に静かに、しかし強く表現されていた「いまの時代や状況に対する想い」そして、謎に包まれているイスラエルの音楽教育の実態までを率直に語ってくれた。このインタビューは後者の
「ノリ」の感覚を数値化・分析した画期的なジャズ研究! チャーリー・パーカー「後ノリ革命」の秘密をあざやかに解明! 「どうしたら本当にカッコいいジャズを演奏できるのか」に悩んでいた著者は、 スウィングからビバップ、クール、ハードバップに至る ジャズの巨匠たちの演奏をコンピューターに取り込んで、 リズムのズレと一致の法則を発見。 ミュージシャンや時代による 8分音符のタイミングのちがいを 数値化・視覚化することによって、 モダン・ジャズを創ったC・パーカー「後ノリ革命」の 秘密をあざやかに解明! さらにその8分音符タイミングの変遷をたどっていくと、 ホーキンス、ヤングからパーカーへ、パーカーからマイルスへと 橋渡しされてきたジャズ発展の歴史が一目瞭然! ジャズを愛するミュージシャンとリスナー、必読の研究本です! どのタイミングで音を出せば、スピード感とグルーヴ感をもって体の奥底からスウィングす
ロバート・グラスパーの最新作『Black Radio III』をより深く味わうために、「Jazz The New Chapter」シリーズで知られるジャズ評論家の柳樂光隆が監修した「ロバート・グラスパー相関図」が先ごろ公開。ここでは独自のプレイリストも交えつつ、柳樂にグラスパーの歩みと影響力について解説してもらった。 1. 「ゲームチェンジャー」としてのロバート・グラスパー 21世紀のジャズというより、今日までにおけるライブ・ミュージックの領域において、ロバート・グラスパーが果たした貢献はとてつもなく大きい。 「ジャズとヒップホップ/R&Bを融合した」と評されがちだが、幼少期にゴスペルから出発して、高校〜大学でジャズを学び、同時にヒップホップ/R&Bのセッションにも顔を出してきたグラスパーは、そもそもジャンルが分かれているという意識が極めて希薄だ。さらにグラスパーが特別だったのは、それぞれ
ロバート・グラスパーによる待望のニューアルバム『BLACK RADIO III』が本日2月25日にリリースされた。 ジャズ/ヒップホップ/R&Bの垣根を飛び越え、その後のブラック・ミュージックの可能性を大きく拡げた大ヒット・アルバム『BLACK RADIO III』のリリースから10年、待望のシリーズ3作目となる本作でも、社会の変化によって破壊された世界のフラストレーションとチャンスを力強く、革新的に、そして美しく音楽で表現している。 有能なミュージシャンと共に、豪華ヴォーカリスト/詩人/ラッパーを多数フィーチャーしているのも聴きどころのひとつである『BLACK RADIO』シリーズ。今作でも、Qティップ、ジェニファー・ハドソン、H.E.R.、イェバ、タイ・ダラー・サイン、ビッグ・クリット、エスペランサ、アント・クレモンズ、インディア・アリー、グレゴリー・ポーターなど多種多様な面々が参加し
前置き はじめまして, コンポーザー, DJなどをやっているArakurです. 昔は打ち込みジャズを専門で作っていたのですが, ここ最近は殆ど作る機会がなく, 知識やTipsを持て余すくらいなら同志や後進に託そうと思ったので少しずつ記事にしてみることにしました. 第1回は, 古典和声またはポピュラー和声についてある程度知っている方向けにジャズのコード進行の理論の原理的な部分について解説します(第2回が今後書かれるかはまだ分かりません). とりあえずこれを読み切ればそこいらのスタンダードの進行は最低限アナライズできるようになる, という感じの内容を目指しています. 本記事は他ジャンルの制作にあたってジャズの知識を取り入れたいというような層を主に想定しています. 僕自身体系的なジャズ・音楽理論の教育を受けたわけではなく, 知識の大半はネットや古い教則本, およびセッションなどによる実践的経験を
Chick Corea Akoustic Band feat. John Patitucci & Dave Weckl - Live in Hamburg 1987 【追悼チック・コリア】チック・コリア・アコースティック・バンド(Chick Corea Akoustic Band)のライヴ映像約78分が公開。1987年10月21日にドイツのハンブルクで開催されたジャズ・フェスティバルでのパフォーマンス。メンバーはコリア、ジョン・パティトゥッチ(John Patitucci)、デイヴ・ウェックル(Dave Weckl)。Jazz|ᴳᴿᴱᴱᴺのYouTubeチャンネルにて公開されています ● Tracklist: 00:00:00 - Intro 00:00:09 - Bessie's Blues 00:11:44 - Summer Night 00:22:40 - Quartet N
【AFP=時事】(更新)米国のジャズ作曲家で、エレクトリックキーボード奏者の草分けであるチック・コリア(Chick Corea)氏が今月9日にがんで死去していたことが、フェイスブック(Facebook)の公式ページで発表された。79歳だった。 【写真】昨年のグラミー賞でベストジャズアルバム賞を受賞したコリア氏 公式ページの発表によると、コリア氏はまれな種類のがんを患っていたことがごく最近になって判明していた。発表文では、コリア氏が生前に残したメッセージも掲載された。 同氏は「私と旅を共にし、音楽の火を明るくともし続けることに協力してくれたすべての人に感謝したい。私の願いは、演奏や制作、パフォーマンスなどをしたいという気持ちがある人には、それをしてほしいということ。自分のためでなくとも、ほかの人々のために。世界にはもっとアーティストが必要だというだけでなく、単に本当に楽しいものなのだから」と
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