イラスト:may(http://www.pixiv.net/member.php?id=1843229) まるで液状化したような暗雲が眼下を流れていく。 天は昏い。神がその慈悲を後悔したように。 時にその昏い天に向かい、さらに漆黒の雲海から青白い稲光が駆け上がる。常軌を逸した光景の中を、視界は疾走してゆく。 遙か彼方にあるのは、漆黒の雲の上に浮かぶ巨大な崩壊。 崩れ落ちかけた大理石で出来た、巨大建築物。 狂気が作り上げたような柱の列と数々の回廊、階段、尖塔、神殿。その羅列の果てしないつながり。 突然炎の剣が振るわれた。 世界の終末を告げるかのごとく空中に血のような赤いロゴが現われる。 ――ノウアスフィアの開墾。 いったい何を開墾するというのだ。何を得ようというのだ。お終いはそこまで迫っているというのに。 吠え猛る風のうなり声のなかで、狂気の錯視神殿は悪夢を孕み脈動を始める。それは数百の魂。
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