立命館大学の松尾匡教授に岸田政権の目玉政策である「新しい資本主義」についてインタビューした。「新自由主義からの脱却」とは実は名ばかりで安倍政権以上に新自由主義的であるという。どういうことなのだろうか。(聞き手 角田裕育) ▽「新しい資本主義」の原案は経団連の「新成長戦略」 ― 岸田内閣の発表した「新しい資本主義」についてどう思われますか? 松尾 経団連が公表していた「新成長戦略」の焼き直しと思われます。リベラル受けのする綺麗ごとが書かれていますけど、実際やっていることは企業側のいいなりですよ。 ― 株主至上主義とかサステイナブル(持続可能)な資本主義とか書かれていますね。菅政権の時に出たキーワードばかりですね。 松尾 結局、安倍・菅路線をほぼ踏襲せざる得なくなったということなんですね。 ― 今、消費者物価が2%台に上がっていますが? 松尾 景気は良くなっていません。コロナ前の状況に実体経済