各地の労働局の「個別労働紛争解決制度」に昨年度に寄せられた相談のうち、自己都合退職は前年度比28%増と増加が目立つ。しかし「自己都合」とは名ばかりで、実際は不慣れな仕事をさせるなどして労働者が自分から辞めるよう追い込む例も多いと、厚生労働省はみている。 自己都合は本来、家庭の事情など従業員の都合で退職することを意味する。しかし、若者らの労働相談に応じるNPO法人POSSEには「自己都合で辞めないと、未払い賃金や退職金を払わないと言われた」「仕事を与えられず、自分で見つけても『(仕事ぶりを)一切評価しない』と言われる」などの相談が寄せられているという。自己都合での退職は、整理解雇など会社都合による退職に比べ、失業手当を受給できる期間が短くなるケースがあるなど、労働者が不利益を被る恐れがある。POSSEの代表は「その場で(自己都合の)退職に合意せず、専門機関に相談してほしい」と訴えている。