18日、台北の民主進歩党本部で、総統選の党内予備選の届け出手続きをする頼清徳前行政院長(田中靖人撮影) 【台北=田中靖人】来年1月の台湾の総統選で、与党、民主進歩党の頼清徳(らいせいとく)前行政院長(首相に相当)が出馬を表明したことで、蔡英文総統の再選戦略が大きく狂う可能性が出てきた。頼氏は蔡氏と比べて高い支持率を背景に、政治的な賭けに出た形だ。しかし、頼氏の「台湾独立」色の強い主張には中国が反発するだけでなく、米国も警戒感を示す可能性がある。 民進党の総統候補の予備選は、党員投票がなく世論調査だけで行われる。調査は4月上旬の政見発表会の後に行い、結果は同17日に発表される。 頼氏は「中国(の圧力)は一歩ずつ迫っており、台湾の情勢は極めて厳しい。どう解決するかを人々に知らせることも出馬動機の一つだ」と述べた。蔡氏の中台「現状維持」方針に不満を持つ伝統的な支持勢力を念頭に、中国批判を強めてい