監督:米林宏昌 脚本:丹羽圭子/安藤雅司/米林宏昌 その日、ある田舎町で行われている「七夕まつり」の中で。 普段おとなしいだけに見えた少女の声が暗く沈む。瞬間的に爆発する暗くて重い感情。「これは私の声?この感情はなに?」それが一瞬わからなくて戸惑う。その戸惑いとは関係なく動く口から吐き出されるのは、目の前にいる少女に向かって投げつける、幼くてそして汚い呪詛の言葉。まぎれもなくその声は、「少女の心の中」に眠っていた、「世界」に向けた「叫び」だった。 相手の少女は、一瞬「むっ」としながらも、こころを立て直し、聞かなかったことにしようとする。オトナな対応。それが、彼女には耐えられない。私が、私だけが、幼く、醜くて、不機嫌で、独り。それをまざまざと突きつけられた気がして、彼女は相手の差し出した手を振り払う。相手の少女の手から、彼女の書いた短冊がはらはらと落ちる。 少女は普通になりたかった。普通にな