どうやら同年代の人たちの字は年齢とともに変化しているらしい、ということに大学生の時に気付いた。そしてそれは社会人になってから確信に変わった。 同僚から渡される引継ぎのメモ、取引先への郵送物の宛名、ホワイトボードに書かれた議事録。 大人が書く字は大人の字。大人による大人っぽい要素で構成されたスーパー大人空間こと会社で流通する字の、なんと大人なこと。 一人ひとりに指差ししながら言ってやりたい。 字がきれい、字がきれい、字がきれい。ひとつ飛ばして字がきれい。 もちろん飛ばされたひとつというのは、わたしのことである。 周りの大人(同年代)の書く字が軒並み大人っぽいことに気付いたときの感覚、これは知らぬ間に周りの女子たちが毛髪を整え化粧をしていることに気付いたときのそれに近い。 こういう時、「なんで自分はそっち側じゃないんスか?!?」と思うが、誰も加齢とともに自動的に瞼がキラキラになるとか字がきれい