監督・脚本・編集:北野武 見終わって、ああ、なるほどな、と思った。いや、この映画がベネチアでサプライズ上映で初出しされたとき、全然理解されなかった、という反応についてである。この映画ね、外人にわかるわきゃないよ。「座頭市」の面白さならば外人にわかるかもしれないけど、これ、おもしろがれるのは、芸能人・ビートたけしという「虚像」を知っている人間でなくちゃ、半分も理解できないはずだ。 つまり、この映画、北野武本人が、虚像「ビートたけし」「北野武」を外から眺めてみる試みである。 この映画自体が、そもそも北野武の妄想なんである。俺が売れてなくて、役者志望のまま、この年齢になったならば、こんな夢を見るんじゃないか、というね。妄想の中のたけしの夢なんである。「売れた」芸人は売れる夢は見ないけれど、「売れない」人間は「売れる」夢*1ばかり見る。それを北野武監督なりに具現化してみせたんである。 たけしって、